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四、新進党の今後の災害対策

@5−UP作戦

A知事、市町村長へのアンケート

B安全国家と首都機能の移転

C今後の課題の地震保険

 私は阪神・淡路大震災発生以来、新進党兵庫県南部地震復旧復興対策本部次長を命ぜられ、さらに神戸市の兵庫共済会館内に設置した「阪神大震災復旧復興支援現地対策本部長」として10回にわたって兵庫県及び神戸市を訪れ、貝原兵庫県知事、芦尾副知事、溜水副知事、さらに笹山神戸市長、田渕助役(当時)、小川助役、市議会の堺議長(当時)、旧知の吉本元議長(神戸市復興委員長)と現場において再三再四協議を重ねました。現地の被災者の立場に立って、本会議における緊急質問(1月20日)、衆議院予算委員会における阪神地震の集中審議(1月26日)、本会議における復興本部設置に関する質疑(2月17日)、災害発生二ヵ月後の衆議院災害対策特別委員会における復旧復興に関する要望の質疑、(3月17日)、さらに同委員会における災害対策基本法の一部改正に対する質疑(6月1日)等において、私は新進党としての主張を続けてきました。
 その間、新進党としての被災地の救援、復旧のための申し入れや予算編成をめぐっての要請を行い、そのフォローを政府に強く求めてきました。その結果、提言の相当部分が補正予算や法律改正において実現しました。各時点での国会の質疑や党の主張などについては、巻末の資料を一読願いたいと思いますが、これだけではまだ問題解決とはいえません。
 特に今後の危機管理のあり方について、新進党としては「新災害プロジェクトチーム」を作り、約二百数十時間にわたって検討を続けてきました。去る3月30日に中間報告として新災害対策基本政策(5−UP作戦)を、国民の皆さんに分かりやすい形で公表しています。さらに各自治体の首長の皆さんの意見も重要ですから、これをお聞きしました。さらに7月3日には災害対策基本法の抜本的改正の立法化を目指すための政策大綱を公にしています。政府はこの提言に真剣に耳を傾け、与野党共同で立派な災害対策基本政策を作るくらいの気持ちで、来るべき臨時国会における対応を急ぐべきだと考えています。

@5−UP作戦

 これは、私が命ぜられて座長を務めております「新進党新災害対策基本政策検討プロジェクトチーム」においてまとめたものです。私たちのほうには、ご承知のように後ろに政府の役人がついているわけではありません。新進党もまだ生まれてわずかの状況ですから、スタッフも揃っているわけでもありません。したがって、国会議員自らが六法全書をめくったり、議論をしたりしてまとめたものです。この中には、例えば問題になっている自衛隊の出動要請の問題もあります。現行法では知事が要請を行い、その要請に基づいて自衛隊が出動を判断するとなっていますが、今回のような大震災において、果たしてこのような規定が適切であるか、疑問が残ります。
 私は地震のあった初日に神戸の上空に行き、翌日には海部党首と一緒に関西空港から淡路島の震源地に船で向かいました。たまたまそこに兵庫県の貝原知事もお見えになっていて、いろいろな問題を話し合いました。例えば避難所に届ける食事ですが、報道では三十万食といわれていましたが、避難所ではなく周辺の建物の中にもライフラインが回復していないために食事を作れないという人がたくさんいるわけで、その数は避難所にいる人の倍だということでした。そしてその倍の数に対して朝昼晩と三食必要なわけですから、それはもう気の遠くなるような数字でした。そういう話を知事から伺いました。
 私は、交通や通信が途絶している状況の中で、果たして淡路の状況が災害発生の直後にどのようにして神戸市の中にある兵庫県庁へ伝わったかということについて、未だに疑問を抱いております。そういう場合には、たとえ離島であっても、たとえ山間僻地であっても、そこの市町村長がボタンを押せば、内閣総理大臣、あるいは防衛庁、国土庁、さらには県知事に、異常事態が発生していることを伝達することができるようなシステムを設置すると同時に、法律には、市町村長も知事と同じように自衛隊の出動を要請することができることにしてはどうかと我々は考えています。このことは、災害発生間もない2月6日、「明日の内閣」海部党首以下全員が兵庫県神戸市を訪ね、さらに、「新進党現地対策本部」に関係市町村長を招いて要望を直接承った際、被災地の複数の市長さん達からも「私たちにも自衛隊の出動を直接要請できる法改正をしてもらいたい」との強い意見が出されました。それだけにこれは、ぜひ法の改正により実現したいと願っています。

A知事、市町村長へのアンケート

 このように、被災地の市町村長の立場を法律案の中に書き込んでいくうちに、新進党としては、その重要な任務を担っている全国の知事や市町村長の意見をこの際承っておく必要があるのではないかと考え、五月の連休を活用して、3304の市町村長と47の都道府県知事に対して、私たちの「5−UP作戦」に対する考え、あるいは法律のどこをどう直すべきか、そういった意見を聞くためにアンケートを実施しました。アンケートの結果は、5月28日に岐阜で開いた新進党「明日の内閣」政策対話フォーラムの後の記者会見で発表しました。このことはすでに新聞にも報道されました。
 全国から寄せられたアンケートの答えの中で、ベストテンに入っているもの、あるいはベスト5に入っているようなものは、全て私たちも極めて重要だなと日頃から考えていることばかりでした。
 災害発生時の救助、復旧活動のために、新たな法律に一般的な私権の制限の規定が必要かという問いに対して、87%の知事や市町村長がこのことの必要性を考えていました。まだ未回答の地域の方々もたくさんいますが、普通アンケートは、四割近い回答があればいいそうですが、私は人命にかかわる災害基本法という重要な法律の改正に関与することだけに、もっとたくさんの回答を、これからも積極的に知事や市町村長に呼びかけていくつもりです。
 また私たちは、防災の記念日等を設けて、市町村における訓練、あるいはさらにもっと広い範囲に広げて、隣県及びブロック単位で訓練を行うことが必要だと考えています。毎年阪神大震災の1月17日と、そして従来からの関東大震災の9月1日のこの両日を記念日として、それぞれ県、市町村、さらに広域の防災訓練地域の各企業、また団体、学校や家庭が防災に対しての意識を集中させるべき日として、防災訓練を行ってはどうかと政府に提案しています。

B安全国家と首都機能の移転

 首都機能の移転論は昔からありました。国土計画では、三全総(昭和52年)、四全総(昭和62年)でも抽象的レベルの問題として取り上げられています。平成に入って特に活発化し、平成2年11月には国会移転に関する国会決議、平成4年12月には「国会等移転に関する法律」が成立しています。私も衆議院の国会等の移転に関する特別委員会に携わっていましたが、大体の必要性は、官民共に認めているようです。
 当時、連合の山岸会長が参考人として出席し、「首都移転というような国の重要な問題については、国会で決めればそれでいいということではなく、広く国民の皆さんのご理解やご協力がなければ」と私が申し上げたところ、「連合の家族を合わせて、この間題に砂煙を上げて協力する」と力強く言っていただいたことを記憶しています。(465ページ参照)
 法律に基づく「国会移転調査会(宇野収会長)」の審議状況は、平成六年に入って課題ごとの中間報告を出して、平成8年の春に取りまとめをする予定になっていたのを、平成七年中に早める動きになっています。新進党も「新政治首都建設特別措置法(仮称)」を七月の参議院選挙前に提唱しており、二年以内に建設地を決定するよう考えています。政治的にも経済的にも大きな行き詰まりのような状態の我が国の現状を見るにつけても、やはり時代の節目に当たって、新しい政治、行政のシステムのための皮袋を作り、国土構造を根本から改革する絶好のタイミングだと思います。
 防災の観点から見れば、いつか必ず起こるであろう東京大地震の際、危機管理を行うべき首都東京の中枢機能がマヒし、日本全体が混乱とパニックの坩堝と化する状態が長く続く可能性があり、これを思うと新首都の建設はのんびり考えている場合ではありません。もちろん、その新首都は政経分離の新しい制度や新しい技術を駆使したモデル都市でなければなりません。近代的な国際文化都市でなければなりません。と同時に、赤ちょうちんの居酒屋も並ぶような温かい心が通う都市でもありたい。大規模な地震が現在の首都東京を襲ったとしても、東京と一緒に被災しないような場所を求め、夢のある、日本人が世界に誇れるような国家的国民的プロジェクトとして推進することが基本となります。
 しかし、今日までの国会の空気は、首都移転なんかすぐできるものではない、いずれにしても20年か30年先のことではないか、ならば今急に反対する必要もない、こんな空気の中で、この首都移転問題が推移していることも事実です。同時に首都移転の問題を大きく取り上げますと、東京都の方から苦情が出てきます。東京都の方は一体どうなるんだという話になるわけです。私個人としては、首都移転に14兆円かかるという試算がありますが、首都移転にかけるのと同じくらいの費用を東京都の跡地の整備にかけるべきだと考えています。防災用の公園を作るとか、もっと素晴らしい、もっと文化的な香りのする、日本のかつての首都として立派な都市に再生するという考えには、国民全体にも異論はないと思います。そういうことに私たちはもっと積極的に対応すべきだと基本的には考えています。20年も30年も先にというような問題ではなく、私は今回の災害の教訓を受けて、首都移転の問題に対しても可及的速やかに対処できるような方向に、もう一度我々の考えを改めなければならないと思います。「新政治首都建設法(仮称)」の成立に力を結集する必要を痛切に感じています。

C今後の課題の地震保険

 今後の課題として、引き続きあのような仮設住宅をたくさん作って対応していますが、仮設住宅にも限度があります。いつまでも仮設住宅のようなところで、被害を受けた人たちが満足するわけがありません。また直ちに新たな対応を考えていかなければなりません。その際にはやはり今後の課題として、地震保険等についても国が加わって対応を考えていく必要があるのではないでしょうか。
 地震による直接間接の火災は、火災保険に入っていても免責で支払いの対象外となっています。
地震保険であればカバーされますが、加入率も低く、保険が出ても限度額があり、査定も厳しいなどの問題があります。したがっていかに普及率を上げて、さらに本当の救済が得られるように改善するかがポイントになります。全労災などでは既にこれらの問題に対する対応に努力していますし、農協などでも地震保険が進んでいます。当然損保業界でも積極的に検討を加えて頂いているでしょう。いずれにしても地震によりこれだけの被害を受け、改めて国民の皆さんの間に災害に対する認識が徹底しましたので、国としても新しい地震保険制度の積極的な導入を考えなくてはなりません。

 

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