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二階 俊博

 「観光」は、中国の『易経』にある「国の光を観る」に由来する言葉であり、一観光団体や一地方、また一業界が取り組むには途方もなく幅広い世界であり、奥の深い産業であります。その国、その地方の歴史と伝統と文化そのものでもあります。


 したがって、国や地方や業界や世界の国々が力を尽くし合って、発展繁栄の道を探っていかなければなりません。そのためには、より多くの人々に旅行、観光に深い関心と興味を寄せて頂き、共に手をつないで、前進することが大切だと思っています。


 本書は旅行、観光に深く関わりを持つ、我が国でも代表的な方々と「観光振興」「観光立国」を目指す立場から、今後の観光のあり方についてさまぎまな角度から語り合ったものです。さすがこの道のオーソリティばかりで、対談を通じいろいろと教えられ、貴重な経験をさせて頂きました。


 観光は国民一人一人にゆとりと充実感を与える夢のある産業であり、21世紀には観光を国づくりの基礎とする「観光立国」を目指していくべきだと強く感じているところであります。


 21世紀を直前に控え、「観光」がやがて基幹産業に発展するというコンセンサスは形成されようとしていますが、そのために克服しなければならない課題も沢山残されています。


 幸い景気もやや明るさを取り戻しつつあり、観光産業もその一翼を担うために、昨年秋、関係の皆さんが心を一つにして「観光産業振興フォーラム」を結成されました。


 また地方においては、各々の地域の知事さんや観光文化の分野でご活躍されている有力な皆さんに立ち上がって頂き、「○○地域の観光を考える百人委員会」のようなかたちで静かに花開きつつあります。


 昔から砂漠の旅人たちは、「次に来る旅人のために泉を清く保て」というジンギスカンの教えを「泉の掟」として、永遠に守っていると言われています。観光の未来を拓くために、観光に携わるすべての人々が「次に来る旅人のために」何をなすべきかを心に問い掛けながら、お互いに内外の旅人をお迎えする温かい気持ちをもって努力を続けることこそ重要であります。


 観光の要諦に「学ぶ」という大切な視点があるということを最初に教えて下さったのは、私が運輸政務次官(海部内閣)当時の観光政策審議会会長を務められていた瀬島龍三先生でした。「90年代観光振興行動計画」(TAP‘90s)の会議で、よく瀬島先生のお伴をして、全国各地を行脚したものです。(財)地域伝統芸能活用センターの活動においても瀬島会長には設立当初からご指導を頂きました。


 私を観光の道に誘って頂いたもう一人の大先輩は、残念なことにすでに鬼籍に入ってしまわれた奥田敬和先生でした。奥田先生が運輸大臣の当時でしたが、私を熱心にご推挙頂き、社団法人・全国旅行業協会(ANTA・会員5800社)の会長をお引受けしました。


 そのことで旅行、観光業に従事する多くの皆さんと知り合い、現場の生の声をお聞かせ頂くチャンスにも恵まれました。


 まさに、観光を通じて学ぶという姿勢で、全国旅行業協会の機関誌の企画で「主役登場」と銘打って、各界でご活躍中の昏々たる方々と対談をさせて頂きました。


 さらに、運輸大臣就任の後にも、雑誌その他で、観光をテーマに対談をさせて頂く機会がしばしばあり、これらをまとめて出版してはどうかとのお勧めを頂き、対談相手の方々からもご快諾が得られましたので、思い切って出版をすることになりました。これまでも全国旅行業協会の会長として観光に関する数々の提言を行なってきましたが、本対談集ではその一部もあらためて紹介させて頂きました。


 昨年の10月5日、小渕第二次改造内閣において運輸大臣を拝命し、今、観光振興の旗振りの立場から「観光立国宣言」を提唱しております。現在は年間400万人にとどまっている訪日外国人観光客を倍増し、「800万人構想」を唱えているのも、観光産業の発展だけでなく異なる国・地域の人、歴史や文化との触れ合いの中から21世紀に向けた新たな日本を「再発見」し、今後の活力に満ちた国づくりのきっかけになればと考えたからです。


 各界からご意見やご批判を頂き、日本というこの国自身を再構築するためのささやかな「たたき台」になれば、望外の幸せであります。


 日本の観光が飛躍し、発展することを切に願うものであります。

平成12年春
   (運輸大臣兼北海道開発庁長官)

 

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