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「観光立国宣言シリーズ」

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航空産業と旅行業界は二人三脚

日本航空(株)社長 兼子 勲

規制緩和が進んで、航空菜界は国内外の競争が激化している。日本の航空業界を代表する日本航空の兼子勲社長には航空業界の勤向をはじめ、観光振興の今後の展望、旅行需要を喚起するための関連業界連携などについて、語って項く。(平成11年8月対談)

かねこ いさお
昭和35年日本航空に入社。その後、ローマ支店長、労務部長、常務取締役、専務取締役などを経て、平成10年社長に就任、現在に至る。

二階 全国旅行業協会の機関誌『月刊ANTA』の対談企画「主役登場」は、今回でちょうど10回目となりました。
日頃私どもが大変お世話になっております各界の有識者の皆さんに、貴重なご意見を頂戴したり、協会及び業界のあり方についてご指導頂いてまいりました。
本日は、私たちが今、何を為すべきかということのご示唆も頂戴したいと期待しております。

兼子 全国旅行業協会の皆様方には大変お世話になっております。私どもお客様をお運びする側といたしまして、共存共栄でこれからも努力していきたいと思っております。

二階 兼子社長は、いろいろなところでご発言の際に、今お話しのように、必ず旅行業界と共存共栄をしようという呼び掛けをして頂いておりますので、大変力強く思っております。旅行で速く、速くへ移動するということになれば、何といっても飛行機てすから。私たちの協会のメンバーにとって、航空会社といかに連携を取っていくことができるかが、旅行の範囲を広げていく上で、これからの大きな課題だと思います。
ご一緒にやらせて頂く兼子社長のご方針に対して、積極的に協力、協調して、一層、共存共栄の道を歩ませて頂きたいと思っております。

兼子 ご一緒に観光・旅というものをトータルで作り上げていく。その中で運送する側と旅行業界とが、私は英語でウィンウィン(Win Win)と言っているのですが、勝ち負けではなくて、勝ち勝ちの関係でなければいけないと思っております。

二階 先日、日本航空とアメリカン航空との共同運航の便で、アメリカのデンバーへ行く機会がありました。共同運航の評判は前々から開いておりましたが、乗員の皆さんに尋ねますと、実績も上がっており大変素晴らしいことだそうですね。兼子社長とのこの対談の日を思って、興味深く伺いました。

兼子 共同運航は、今の国際航空の大きな戦略の一つでございます。飛行機は大変高価な機材ですから、自分のところだけでたくさん買うわけにもまいりませんので、お互いに提携を組んでネットワークを広げていくようになります。それによってお客様の利便性も向上しますし、航空会社としてもネットワークが拡大できるということで、今、力を入れてやっております。

二階 画期的なことですね。航空業界の、特に海外をおやりになる場合、今後この共同運航の方式が広まっていくということですね。

兼子 世界的にもいろいろな提携、アライアンス(Alliance)が広がっておりまして、いくつかのグループができています。私どもは、今のところは二社間の提携ということで、アメリカですとアメリカン航空と、フランスですとエア・フランスと、という形での提携です。グループに入る入らないというのはこれから先、検討しようと思っております。

二階 世の中は規制緩和の流れの中にあります。航空業界も新規の会社が参入して、一時は大変混乱すると言われる人もおりました。最近は落ち着いてきたようですが、いかがですか。

兼子 国際航空の場では、自由競争はずっと前からございましたが、国内航空もようやく規制緩和で、咋年(平成十年)、スカイマークさんとエア・ドウさんの二社が新しい航空会社として参入されました。このことが業界仝体に刺激を与え、新しい需要喚起に繋がれば結構なことです。私は、そういうことで競争していくということは、業界全体にとって良いことだと思っております。

二階 競争だからといって、無茶な運賃は長続きしません。やがて落ち着くところへ落ち着いていくのだろうと思います。おっしゃるように非常に刺激を与えたようですね。業界のみならず、運輸省に対してもね。

兼子 競争してお互いに刺激し合うことはいいことだと思っておりますし、今、会長がおっしゃいましたように、運賃を下げることについても、コストを下げていくという努力はしていかなければいけないと思います。

二階 社長ご就任後、「健全で強いJALグループ」というビジョンを発表されましたが、特にこの中で一番ウェイトを置いておられるのはどういう点ですか。

兼子 変化の激しい時代でございますから、それに対応できるような体質でなければいけないと考えております。それにはコスト面で十分対抗できるようでなければいけない。九二年以来、私どもでは構造改革委員会というのをつくって、相当コストダウンをしてまいりました。全体のコストとしては、三割以上下りましたし、特に人件費は四割以上下りました。ただその間、やはり競争が激しいものですから、運賃の収入の単価というものも三割以上下ってしまい、その追いかけっこをやってまいりました。国際的に十分競争できるコスト体質に、今一歩のところまで来たと思いますので、それをまずやることが、自助努力として必要だと考えております。あとは行政の方に、空港使用料や航空燃料税などの公的な負担が、諸外国に比べて大変高いということを、ご配慮頂きたいと申し上げているところでございます。

二階 だいたいこの頃は航空業界のキヤンペーンが徹底したようですね(笑)。自由党交通部会長(当時)として改めて承っておきます。

兼子 そのへんを進めていけば、コスト的にはかなり競争できる状態になると思います。あとは販売努力をいかにやっていくかということですね。経営の仕方としては、これから特に連結決算ですとか、会計基準も段々変わってまいりますので、グループでの競争をしていかなければいけないということでございます。航空輸送そのものにしましても、国内線の小型機に関しては、JALエクスプレスという新しい会社を設立いたしました。国際線の観光路線に関しては、ジャパンエアーチャーターをJALウェイズという名前にして定期航空会社とします。このようにして、コストの低い兄弟会社を作って、グループで対応していく。そういう経営を目指しております。

普段者姿を見せてこそ
訪日旅行者も増える

二階 日本の航空運輸業界のトツプとしてのJALのご活躍に、我々は常に敬意を払っているわけですが、さまざまな場面で兼子社長が述べておられるインバウンドについては、私も大いに考えていかなければならないと思っております。年間約1700万人くらいの日本人が海外に出かけているのに対して、日本においでになる外国人は400万人くらい。
外国人旅行者受入者数は世界で32位、旅行収支も3兆2739億円の格差があります。この差は大きいです。今までは貿易摩擦で通産省関係の他の業界がみんなアメリカにお叱りを受けている中で、観光閑係の業界だけは、胸を張っていられると冗談を言っていたのですが、この頃はそうも言っていられなくなりました。この問題を解決していくと言いますか、同じようなレベルに近づけるのは、まだまだ容易なことではありませんが、外国人の訪日客を倍増ぐらいのことはしていきたいと考えております。

兼子 私も全く会長と同じ考えです。入ってこられる方が、出ていく人の四分の一しかいないというのは大変残念なことです。確かに賃易摩擦の軽減には貢献しているかも知れませんが、日本の観光の魅カというものをもっとPRして、官民挙げて、日本へ来られるお客様を増やしていくという努力が必要だと思います。
二階 トータルで日本の観光は値段が高いということになっているようですし、言葉の障璧とか、いろいろ問題はありますが、日本に来られた人はみんな喜んでくれているんです。例えば、私が以前、アフりカの方に「日本へ行ってどこが一番良かったですか」と聞きましたら、「京都が良かった」とちゃんと印象を語ってくれました。ですから、リピーターのお客様をどう誘致するかということなのでしょうね。

兼子 日本の魅力というのは、いろいろな名所旧跡、多くのハイテク企業、クリーンで安全なイメージなど、良いところがたくさんあるのですから、ドンドンPRしたらよいと思います。ただ、インフラの整備は必要でしょうね。例を挙げますと、道路標識などは、外国の人には不親切なところがありますね。

二階 我々も外国人になったつもりで、突然日本に降りたらどうするか考えてみるといいでしょうね。私は、二度、運輸政務次官をやらせて頂きましたが、一度目はアメリカと日本との第一回観光協議、二度目はカナダと日本の初めての観光協議がありました。カナダとの協議の第二回目を、私の郷里和歌山県の白浜温泉や、梅の産地の南部川村で行なうことになったときに、外国のお客様をどのようにもてなすかということで、田舎に来て頂くことに関係者がみんな大変躊躇したんです。私は、そうじゃなくて普段着でお迎えするのが良いと「問題は心だよ」ということを申し上げたんです。結局、村長さんの奥さんはじめ女性陣はみなさんエプロン姿で、村民総動員で、カナダのジョン・マンリー観光大臣や業界の代表者一行に、炭の焼き方、梅を漬けるところ、お茶を揉むところなどを見て頂いたんですが、いまだにカナダの観光業界のトップの人たちは、「日本へ行って、ミナベへ行って良かった」とおっしゃってくれています。それから、アメリカのある市長さんを私の選挙区へお連れしたことがあります。そうしましたら、「俺は六回日本へ来た。すべて東京の大きなホテルに泊まった。そこはアメリカと同じだ」と言っていたのが(笑)、ちょうど紅葉の頃でした。柿の木に実が生り、藁を積んでいるといった農村の風景を見て、「俺は初めて日本に来た」って言われるんですね(笑)。先ほど兼子社長がおっしゃったような日本の自然の良さというものや、日本の普段着そのままを見せることで、外国の人と日本人が親密感を持って接することができるようになる。なにか日本人がよそゆきになって、構えてしまっていますよね。アメリカやその他の外国の人の方は、いつでもどこでもフランクですね。

兼子 本当にそうですね。会長のおっしゃるとおり、和歌山での梅干づくりなどを見て頂くというのは大変良いことだと思います。インバウンド観光を促進するというのは、何もそれで日本が潤うとか、航空会社や旅行会社が商売上潤うとかいうだけのことではないんです。日本の姿を見て頂くことによって、人と人の心の交流と言えるようなものが出てくることが、本当に大事なことで、それは日本人自身が自分たちを見直すきっかけにもなると思います。ちょっと大袈裟かもしれませんが、旅行・観光というものを促進することが、本当に世界の乎和に責献していくことに繋がると思っているんです。

二階 観光産業は平和産業だとよく言われますが、ドンパチやっているところへは誰も旅行に行きません。世の中が落ち着いて平和であるということと、観光産業の発展とはイコールなんですね。と同時に、一度足を踏み入れた国にはずいぶん親しみが湧くものですよね。この間も、コートジポワ一ルの大統領がお見えになられたのですか、私もコートジポワールヘ二度ほど行って友好議員連盟のお世話をしているものですから、小渕総理から官邸での歓迎会にお呼びがありました。私が向こうへ行っていたとき、当時のポワニ大統領は80歳を超えておられて、私に「どうしても我が国の国会議長に合ってくれ」と言うんです。後継者だったんでしょうね。今回お見えになられた大統領が、当時のその国会議長さんなんです。その国へ二度もお伺いしておりますと、何だか親しい人が来たような感じがしてくるんですね(笑)。ですから、国際会議などでちょっと立ち寄ったところでさえ、親近感はずいぶん違いますね。

兼子 観光が平和産業だということを、私が身に染みて感じましたのは、湾岸戦争の時です。それまで世界の民間航空というのはずうっと右肩上がりで来たのですが、あの時だけガタッと落ちました。それから、欧米の航空会社も含めて、生き残るためにリストラを行なうなどの競争が始まったのです。

二階 阪神淡路大震災のあと、山形へ観光の会議で行きましたら、あちらのおかみさんたちが、阪神の地震でお客が減っていると言うんです。何で阪神の地震が山形まで響くんですかと聞きましたら、例年、神戸から修学旅行でスキーに来ていたそうなんですが、あの地震のために修学旅行がドンドン中止になって、その影響が山形まで来ているということなんですね。あれは規模が大き過ぎる災害でしたが、本当に世の中が平和で、みんなが穏やかな気持ちを持っているということが、観光のバックグラウンドとして大変大事な要素なんですね。ですから、観光が栄えれば、平和な暮らしや平和な地球の実現に繋がるとも言えるわけです。子供たちの修学旅行なども、いろいろな制度を駆使して、ドンドンと海外へも行けるようにしたいですね。子供の時にはローンで行って、卒業して一定の収入を得られるようになってから返済する、育英資金のような「育英修学旅行」などを考えてはどうかと常々思っておりまして、国会でもそういう発言をしたこともあるんです。若いときに海外を見ておきますと、子供たちの将来に良い意味の大きな影響がありますからね。

兼子 最近の修学旅行は、中国や韓国などいろいろなところへ行っておりますね。若いときに海外に行きますと、世の中にいろんな考え方や生活があるんだということが分かりますから、私はとても大事だと思います。それから修学旅行というのは、日本独特のもののようですけれども、逆に言うと、アジアの人々も、修学旅行で日本に来られるようになるといいですね。そういう兆しも出てきております。

二階 この頃、地方でもホームステイにちゃんと対応できるようなお家が、たくさん出てきました。そういうボランティア活動の気運も高まってきておりますから、旅行業界と航空会社とが提携して、落ち着く先はボランティアの各家庭という企画はどうでしょうかね。
それから今、兼子社長がおっしゃられたように、私たちはアジアとの交流をもっと真剣にやらなければいけませんね。

兼子 本当に、そのとおりだと思います。日航財団というのが私どものところにあるんですが、ここでは夏休みを利用して、アジアから留学生を呼んでおります。今年で26回目になりますが、もぅ1000人以上の人が来て、いろんな大学で勉強しています。さまざまなところに滞在していますが、中には私どもの社員の家にホームステイさせるということもあります。規模は小さいですが、そういったことも努力しております。

二階 全国旅行業協会のメンバーで山形県の支部長の清野さんは、日航のご協力を頂いて、昭和四十一年の頃から『空飛ぶ航空教室』を催していますが、ずいぶん回数も重ねたようですね。国会からは、森自民党幹事長、民主党の羽田幹事長、鳩山(由)幹事長代理(当時)、鹿野国対委員長(当時)や私どもが応援団になっておりますし、シャンソン歌手の石井好子さん、セゾングループの堤清二氏等皆さんご声援を続けてくれていますが、この間もその会の打ち上げの席で、兼子社長ともご一緒しましたね。

兼子 はい。アメリカのモーゼスレイクというところに私どもの訓練所がありますが、清野さんはそことの交流にも尽力されています。ああいうことがずっと続いていくと良いと思いますね。

二階 21世紀に期待される産業の柱に、観光産業も挙げられていますが、私もやがて基幹産業になっていくだろうと思っております。ですから、日本の経団連とか商工全議所といったところのトップリーダーに観光関係団体、例えば日航の社長やJATA(日本旅行業協会)の会長がそういうポジションにお就きになるとか、日本の産業界全体を引っ張っていくためにも、もっと日本の主要な経済団体等のメンバーに、観光関係団体のリーダーの方がなって頂かなければならないと思っているのですが、いかがでしょうか。

兼子 私も観光産業は、21世紀には基幹産業になっていくと考えています。最近、西武百貸店の坂本春生副社長に、「これからの消費を代表するのは、旅行・学校・健康の「三こう」。教養を高めたり、健康で、その中にはもちろん美容なども入るわけですが、そういう自分を充実させるものが消費の中心になって来るんじゃないか」と言われたんです。全くそのとおりだと思いました。消費生活の質が段々変わって、物よりも、心とか、教養とか、自己実現ということに重きが置かれる。旅行とか観光は、国民生活、消費の中で大事な役割を果たしていくという意味で、中心の産業になっていかなければいけないと思っているんです。

二階 いくらお金があり、ゆとりがあっても、心が空洞であったり、空しいというのでは、人生はまことにつまらないですね。消化試合をやってるような人生じゃなくて(笑)、充実した人生にしなくてはね。私の後援会でも、たまに海外旅行に行くのですが、忙しくて、すべての期間はお供できないときでも、私は日帰りでも現地まで行くんです。皆さん、旅行から帰られると、「今度また行こう」、「次、どっか行こう」とかおっしゃられて、「もう懲り懲りだ」と言う人はいないんですよ。ですから、旅行・観光の潜在需要というものは、まだ日本の各地、各階層に、いっぱい潜んでいると思いますね。

兼子 本当にそうですね。海外はもちろん、日本国内でも行ったことのないところがたくさんあるわけですから、無限の広がりを持っているとも言えるわけで、それは我々日本人に対すると同時に、それこそ外国からのお客様に対しても、さまざまな切り口で訪日誘致ができると思います。

祝日三連休化による経済効果は
二週で8000億円を予想

二階 小渕捻理が提唱されている『経済戦略会議』等においても、観光がずいぶん取り上げられるようになって、日本人の平均宿泊日数は、現在一・六泊ですが、これを二泊にしようと決議されました。観光施策に対して、運輸省だけでなく、内閣を挙げて取り組もうという姿勢が政府に出てきたことは、率直に言って画期的なことで、大いに計価すべきだと思います。実は、誰にもまだ相談していないのですが、観光閑係の商工会議所のような「日本観光産業会議所」(仮称)を、こういう気運が出てきたことを契機に、一挙に作られたら如何かと考えているんです。覚えきれないほどたくさん観光関係の団体がありますが、これらを集約して意見を述べるとか、協力・協調し合いながら、一つの目標に向かってど−んと進んでいくというようなことがあってもいいのではないでしょうか。と言うのは、それぞれのところに立派な方々がいらっしゃるのですから、皆さんで力を合わせて、例えば祝日三連休化の推進や、海外旅行の際の土産物を全部無税にする30億円くらいになるそうですが−税収にして30億円くらいになるそうですがーというような、観光業界が次々と斯くあるべしということを、政府に対しても要望・主張していくこともできるのではないでしょうか。何か旗振りをして頂けたらいいと思うのてすが、どうですか。

兼子 そうですね。なかなか一遍に大きなものを考えても難しいと思います。まず、いろいろな地域ごとに、観光業界と運輸業界それぞれの組織が協力し合いながら、例えばそこをデスティネーション(旅行の目的地)としてどうやってプロモートしていくかというようなことを、やはり共同で、官も民も地元も、それからいろいろな業界も協力していくような気運を、できるところから盛り上げていきたいと思っております。それから今、会長がおっしゃた祝日三連休化の話でございますけれども、これも非常に観光業界を盛り上げる一つの要素でありまして…。

二階 政府のお金を使わずに、景気を盛り上げることができる大変いい政策なんです。法律の改正は一行で済むんですよ。

兼子 可処分所得があっても可処分時間が無いとやはり旅行はできませんのでね。来年(平成12年)からようやく成人の日と体育の日を月曜にして頂くということになりましたが。

二階 2週ようやく実現しました。これで8000億円ぐらいの経済効果があると言われています。あと二週増やして、1兆2000〜3000億円の経済効果が現れるようになればいいと思っています。それから、もっと広い国民全体の立場から見ると、一家の主人が三日間休みを取れるとすれば、少なくとも一日は家族と一緒に過ごすことができるとか、近所のボランティアに参加することができるとか、ご無沙汰している友人・知人を訪ねることができるとか、本当に人間らしい生き方をしていくためにも、三連休というのは大事なんですよ。

兼子 おっしゃるとおりですね。私も30年ほど前にアメリカに駐在しておりまして、その時にちょぅど月曜祝日法というのができたんです。私も最初は戸惑って、初代ワシントン大統領の誕生日を勝手に月曜日に動かすというのはどうなのかなあと(笑)、その時は思いましたけれども、よく考えてみますと、非常に良いことをやっていたんだなあと思います。家族の集いとかいうことに大変役立つんです。確かに敬老の日ですか、そういう関係の方から、「その日は大事だから動かしちゃいかんよ」というご意見もあるようですけれども、考えてみると、例えばおじいちゃんおばあちゃんが遠距離に住んでいるときに、子供も休みだからお孫さんがそこへ訪ねていけるとか、良い要素もあると思うんですね。そういうふうにお考え頂けると、ありがたいと思っているんです。

二階 野球でも、バレーボールでも、サッカーでもそうですが、試合中に選手が集まって、一つの目標に向かって行こうという決意を表わすために、「ヤー」とか「オー」とか「ファイト」って声を掛けるでしょう。家庭の中にもそれがなければやっぱり駄目なんですね。この頃はなかなか家族揃って頑張っていこうという声を掛けるときが無いんですよね。でも、三日あればいろいろなことができるんです。今、兼子社長がおっしゃったように、家族みんなが一緒になってね。三連休はそういう意昧で、実施する前から評判が良いものですから、これはもう二週増やそうということで、先日開催された私どもの第35回の通常総会でも、協会としての決議をしたんです。

兼子 大賛成でございます。

二階 航空業界にもぜひ応援していただいて、進めていきたいと思います。

観光は、平和へ貢献する
夢のある明日の産業

二階 日本航空のトップのお立場と、私どもの旅行業界の経営とは前々別のものかもしれませんが、旅行業界全体に何かアドバイスを頂ければありがたいと思います。

兼子 会長もおっしゃいましたけれども、旅行というものは、人生の充実とか、家族の集いとか、いろんな意味で本当に大事な要素になってきていると思います。それが国際的な面で言ったら、相互理解であり、人の交流を通しての世界平和への貢献であり、日本国内においても、いろんな地域間の相互理解というものに繋がる、そういう大事な意味があると思うんですね。従って、経済的に効果があるということももちろん大事ですけれども、単に、営業とか旅行業の経営が良くなるといぅことだけではなくて、それ以上に、人間の生活とか、消費生活というものを充実させる要素があると思うのです。旅行産業は、大変夢のある産業だと私は思っております。私ども運ぶ側と旅行業とが相携えて、大いに盛り上げていきたいですし、そこに働く人にも夢のある産業だと誇りを持って頂きたいと思います。

二階 私はいつも会員の皆さんがお集まりになりますと、旅行業は、今苦しくとも、21世紀に向かって明日のある産業だと言うんです。兼子社長も朝の来ない夜はないとおっしゃっておられますが、私も業界の皆さんに、追い風なんだと、我我には大きな明日があるんだとこの先に広い平原が待っているんだと、だからそこに向かって歯を食いしばっても前進していくんだと、しかしそのためにはアイデアを出して工夫していくんだと、苦しいときこそ知恵を出すチャンスなんだと、こう話しているんです。
先日も日本旅行業協会の総会で、軽自動車の例で申し上げたんです。軽自動車は車体を横8cm、縦10cm大きくすることに規制緩和したわけですが、その時にそれに備えて、各社がみんな新しい車をつくって売りに出したものですから、今この不況の中で、軽児童車業界は三割売上げを伸ばしているんですよ。お客さんの欲しいものを作れば必ず売れるんだということを、これは証明しているんですね。ですから、「駄目だ駄目だって言って、うつむいて、不景気の太鼓を叩いていてはいけませんよ。我々は経済企画庁じゃないんだから」って、私は言うんですよ(笑)。よくみんな景気が悪いとか言いますが、そんなこと言ってたら、誰も観光旅行に出掛けようという気にならないじゃないですか。不景気の折りにね、逆風突いて旅に出掛けようなんて人はいないんですから。そんなこと言っていたら駄目だって、みんなに言っているんですが、今、兼子社長のお話聞きまして、大変意を強くしました。
最後に、去る7月23日(平成11年)、全日空機がハイジャックされて、機長が尊い命を失うなど本当に残念なことで、犯人に対し憎んでもあまりある状況でございますが、これから私どもも政治の立場から、運輸省や関係各社、警察も含めていろいろな関係者のご協力を頂いて、こうしたことが二度と起きないように対策を立てようと思っております。
明日ちょうど自由党の交通部会を開くことになっておりますから再発防止の決議をするつもりです。航空業界として、大変衝撃、ショックを受けておられると思いますが、ハイジャック再発防止に対して何か一言。

兼子 もう大変な痛恨の出来事でございまして、亡くなられた長島キャプテンには、本当にどうお悔やみを申し上げても申し上げきれないという気持ちでございます。私ども航空業というのは、何といっても、安全に飛行機を飛ばすということが第一でございます。そういう意味で、ハイジャックに対する徹底した防止策というものを、今後強化するということはもちろんでございます。それから、安全運航のための整備・運航そういったものに対して、これまで以上に力を入れてやっていきたいと考えております。それが本当に基礎の基礎、大前提でございます。

二階 日本航空をはじめ、各社がたくさんの飛行機を飛ばしておられますので、経営者のトップの方々は、本当に毎日毎日ご心労も多いと思います。とにかく日本のトップの産業として、ぜひこれからも頑張って頂きたいと思います。ハイジャックの防止は、私どもも精一杯どういう対応ができるか、予算の面も含めて対応を考えていきたいと思います。
今日はお忙しいところを大変ありがとうございました。

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