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「観光立国宣言シリーズ」

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新たなるクルーズ時代の幕開けに向けて

(社)日本外航客船協会会長(当時) 宮岡 公夫

 クルージングはもはや高嶺の花ではなく、ゆとりある余暇を過ごすための最良の手段、と説く日本外航客船協会の宮岡会長。ようやく日本でも根づき始めたクルーズの魅力と現況、そして今後の展望をじっくりと語り合って項く。(平成8年4月対談)

みやおか きみお

昭和23年日本郵船株式会社入社、同社ロンドン副支店長・営業第一部長を経て、昭和59年社長、平成元年会長。その後、平成7年より同社相談役。平成10年1月逝去。

二階 今日はお忙しいところお越し頂きまして、誠にありがとうございます。ご承知のように、今まで全国旅行業協会は国内旅行を中心にやってまいりましたが、今度、旅行業法の改正によって海外旅行等についても大きく門戸が開かれるというチャンスが与えられました。ですから、私どもの業界としても、今後、クルージングに対しても大いに前向きに取り組んでいきたいので、ご指導頂きたいと思っております。
ここ数年、大型の豪華客船が次々に就航して、世界一周のクルーズや、ハワイ、オーストラリアへのロングクルーズ、また国内のお祭りやクリスマスに合わせたショートクルーズが活況を呈しているようですが、旅客船業界の現況はいかがでしょうか。

宮岡 その前に、歴史的な経緯を少し。クルーズマーケットは、ご承知のように戦前は、海外渡航の足だったんですね。これが結局、飛行機にみんな取られちゃいまして、完璧に没落したんです。その後、1965年ぐらいから、今度は船で遊ぶ、文字どおり、クルーズですね。それに転身して再興し出したんですよ。
それで1989年に、日本の会社がみんなもう一回客船をやろうということになりました。これは会社の多角化とも関連しているんですけれどもね。私の会社なんかも四〇〇隻ぐらい船を動かしていますが、戦後、客船づくりのチャンスがなかった。ところがやる以上は、戦前の「郵船」というイメージがあって、変なモノをつくったら、オールドファンが泣くと言われる…。それと戦前、柏原丸という二万八000トンの大きな客船を最後に建造したのです。ところがこの船が、すぐに軍部に徴用されまして空母に改装され、とうとう客船としてデビューできなかったんです。その思いがあるものだから、どうせつくるなら柏原丸と同じトン数の船を建造しようということで、「飛鳥」をつくったんです。

二階 「飛鳥」は一九九一年にお造りになったそうで、同じ客船の中でも最も素晴らしいと言われていますが、郵船のご自慢の船で、動くホテルという感じですね。

宮岡 そうなんです。まだ先輩で生きているのがたくさんいますからね。

二階 先輩の船ですか。

宮岡 いやいや、先輩の人が(笑)。だから、いい加減なものは造れない。昔はいい船がたくさんあり過ぎたんですよ。

二階 昔の名船というと・・・。

宮岡 「鎌倉」とか「浅間」とか、いろんなのがございましてね。だから、やる以上はやっぱり一番いい船にしようということで始めた。今、アメリカには、五〇〇万人近い利用者がいる。日本は、本格的なクルーズ船ができた八九年が約一五万人、その後、順調に増加し、今は約二一万人。人口割りからすると二〇〇万人ぐらいいてもいいんですがね。まあ、向こうはカリプ海という名勝を抱えていますから、ちょっと状況が違いますが、それにしても日本はちょっと少ない。

クルージングの旅こそが
シルバー層には最適、かつ最上

二階 クルージングと他の旅行では、意識の上で根本的に違っておりましてね。クルーズはみんな贅沢品みたいに思っている。一生に一度乗ってみたいとか、まだそういうレベルですからね。

宮岡 でも、おかげさまで、今回の世界一周は、600人乗りの客船で、スタッフを除くとほば450人がお客様。その四分の一がなんと世界一周初めて、旅行初めて、船初めてのシルバー層なんですよ。

二階 みんな日本人ですか。

宮岡 全員日本人です。面白いことに、船の半分ぐらいを一つの民族というか、一国の国民が占めますと、そこの国の文化になっちゃうんですよ。言業もその国のものになるし、食事もすべて。ですから、日本の客船には外国人は余りお乗りにならないんですよ。

二階 クルーズの語源と定義を教えて頂けると・・・。

宮岡 これにはいろんな説がありますが、大航海時代に海賊船が獲物を求めて前後左右にクロースして航海したことからきているというのが定説じゃないですかね。今では、船で楽しんで、いろんなところへ寄っていくという意味になっています。

二階 クルーズは先ほどのお話のように、シルバー層といいますか、一生を勤勉に働かれてリタイアされた方々が、夫婦で世界を巡るというのが本当の理想ですからね。

宮岡 そうなんですね。ですから、今度の客船も約四五〇人の平均年齢が六七・五歳ですよ。私、七三歳ですから平均を超えていて、いやこれは関係ないけれども…(笑)。

二階 会長は年より一〇歳ぐらいお若いから。

宮岡 いやいやとんでもない。結局長い船旅はシルバーエイジ向きなんですよ。だんだん年をとってくると、飛行機はしんどいでしょう。若いときはいいですけれどもね。

二階 船の雰囲気はゆったりとして特別ですし、空の色、頼をつたうさわやかな風、飛行機では味わえないことですね。

宮岡 船を勧めますと、だいたい聞かれる質問が決まっているんですよ。まず「揺れないか?」。最近の船旅を経験されればわかりますが、フィンスタビライザーといいまして、船に飛行機の翼みたいなのが出ていますよ。これで揺れを抑える。速力は一ノットぐらい落ちますけれども、相当抑制力がある。

二階 安定するわけですね。

宮岡 それから縦揺れの方は、全長を長くしまして、二〇〇メートルあればずいぶん違うんですよ。一〇〇メートルぐらいの船ですと、揺れを結構感じますね。だから「揺れない」といって売るなといっているんです。少しは揺れます。けれども昔の船と違ってご心配になるような揺れ方はしませんと。
それから二つめは「退屈しないか?」。船内ではお芝居もあれば、映画も、音楽演秦、ゴルフのシミュレーションなどなんでもありますからね。その中で好きなものをピックアップしていいし、それが嫌な人は、私なんか本が好きなものだから、箱にいっぱい詰めて持って行くんですよ。ふだん読めないような長いやつを。これをベランダでひっくりかえって陽を浴びながら読んでいると、これはもう天国ですよ。

二階 これは船旅ならではの魅力ですね。

宮岡 それから絵の好きな方は楽しいですよ。描く種がいくらでも転がっているわけです。今度、私も油絵の道具まで持ち込んで乗るんですよ。

二階 船旅を一〇倍楽しくする方法ですね。

宮岡 そういうことなんですね。それで三つめは「タキシードを着て窮屈でたまらない」という方がいるんですが、これは大げさに言われているんで、女性の方がお洒落をする社交界なんかが日本ではあまりないでしょう。ですからせっかく買われたものも着るチャンスがない。

二階 着るところがない。

宮岡 お洒落するのに絶好なわけです。だから女性は喜ぶんですよ。それも毎日ではないし、昼はどんな恰好をしていてもいいのですから。

二階 本当に外国人旅行者を見ますと、昼はみんなラフな恰好をしておりますが、夜になったらバリッとしてますね。

宮岡 そう、世界一周96日間のクルーズでも、フォーマルは8回しかないんですよ。
だから、10日に一回の割合ですね。たまにビシッと決めると、気分が割とシャキッとしてそんなに苦痛にならないんですよ。

二階 やっぱり服装を着替えるのは、また気分を変える面で楽しいですからね。

宮岡 変わりますよね。しかし、それが大げさに伝わり過ぎている。ただし、女の方はフォーマルの日を非常に架しみにされる。

二階 このごろは女性ばかりのグループなんかも多いようですね。

宮岡 ございます。気の合う友達と一緒に、女の方同士で乗るという方もずいぶん増えています。

二階 年齢層も多岐にわたっているんじゃないですか。

宮岡 一週間以上のような長期はだいたいシルバー層ですね。若い方は、やっぱり忙しいし、現役ですから休みが長くとれない。そういう方はだいたい三、四日とか、長くても一週間。短いのはワンナイトクルーズとかありまして、大きく分けますと、若い層は短期間、シルバー層は長期になりますね。ですから、今度の船も平均六七・五歳なんていうことになっちゃうわけですけれども。

二階 素晴らしいことですね。六七・五歳でみんなクルージングで海外へ出られるということは。

宮岡 それに日本籍船ですから、食事も日本食が自由に食べられる。それからクルーも日本人が多いんですよ。実は、これがコスト高につながっている辛いところなんです。

二階 それだとみんな、航海中もお客さんがクルーたちと気軽に話ができますしね。

宮岡 そうなんです。ですからお年寄りや、身体障害者の方も結構乗ってくれるんですよ。そのための設備も整えてますから、客層には相当バラエティがありますね。

二階 船旅、クルーズ旅行への一般のお客様の人気が大変高まっておりますから、私たち全囲旅行業協会のメンバーも客船会社とタイアップして、今後、旅行商品の開発に努力をすればいいと考えているんですよ。また旅行業者あるいは旅行業界との提携のあり方等について、ご指導頂きたいと思います。

宮岡 その点、非常にアメリカと対照的ですよね。アメリカは今全国に二万社ぐらいの旅行業者がいるんですけれども、そのうち七〇〇〇〜八〇〇〇社がクルーズを扱っているんですよ。さらにおもしろいのは、船旅だけの専門会社が七〇〇〜八〇〇社もある。規制がないんですよ。だから、ビバリーヒルズのすごいところに住んでいる未亡人のマダムなんかが、小さな部屋を借りて、経験を生かしてやっているんですよ。彼女らはコミッションを十%もらえますからね。ロングのクルーズで一万ドルなんかの注文を受けたら、十%というのは大きいんですよ。ところが、日本はまだまだ、船が空いていて、そのときは極力代理店の方を乗せて、船とはどんなものかというのを味わって頂く。そして身をもってお客様に勧めてもらうという段階なんです。

二階 ただ、船旅は料金が高いというイメージ、何か少し高嶺の花のような感じを持っているんですがね。これをもう少し・・・

宮岡 日本籍船の場合、大変難しい問題が二つあるんです。一つは、フライ&クルーズとよく言うでしょう。飛行機で飛んで、船に乗り、また飛行機で帰ってくる。飛行機賃がアメリカに比べてすごく高いんですよ。

二階 飛行機賃がね。

宮岡 例えば1番いい例が、東京と沖縄としましょうか。これが約一五〇〇キロメートルあるんですよ。ロサンゼルスからマイアミの方にあるポートロザベックというところが、これはカリプ海への玄関口みたいなものですが、これが三七四五キロメートルで約二倍以上の距離。しかし料金は、アメリカは往復で三万円、日本は沖縄往復をすると六万円ですよ。距離が半分以下で料金は二倍なんですよ。

二階 じゃ、四倍ということですか。

宮岡 それから私が一番驚いたのは、東京―シンガポール間。これは往復二四万円くらいかかるんです。そうすると、同じ距離のロサンゼルスからサンファン、プエルトリコですね。これがやはり往復三〇〇ドルか四〇〇ドルです。だから、三、四万円対二四万円なんですよ。

二階 これじゃたまらんですね。

宮岡 だから、フライ&クルーズを大いに運輸省が奨励してくださっても、これが直らないと、売れないわけですよ。

二階 そうですか。それが一番の問題ですね。

日本籍船も自由にカジノができれば
もっと楽しく、コストダウンも可能

宮岡 もう一つ、希望を申し上げますと、日本の沖合を、公海上ですけれども、私ども所有のバハマ国簿船「クリスタルハーモニー」が走っていると、その中では、ラスベガスのようにカジノが華やかに行われている。これが船会社にとると、副収入になり大変ありがたいんですよ。ところが、日本籍では公海上に出ても刑法と風営法の網がかかり、ルーレットなどの遊びはできるが、パチンコ並に賞品が出せない。だから、勝っても、せいぜい置き時計みたいな記念品を渡すぐらい。公海上で外国船はカジノができるのに、日本船は全然できないというわけですから。

二階 国際競争の上においても不合理ですね。それは運輸省にもまず検討してもらって、規制緩和ですね。

宮岡 申し上げているんですけどね…。国際化、国際化といっても、変なところで国際化されていないんですね。飛行機料金もそうですしね。

二階 フランスなんかに行きましたら、やっぱり飛行機とクルーズとの折衷。ですから、例のコンコルドとクルーザー乗船との組み合わせ、これが最高の楽しみのようですね。

宮岡 そうなんですよ。それから、日本籍が特別高いとおっしゃるのは、これは確かに若い人にとっては高いかもしれないけれども、例えば今、うちの一番目玉になっている蒙州、ニュージランド35日間。これは一人100万円ですよ。だから一日3万円弱ですよね。
ほば3万円。それでいろんなところが見られて、美味しいものを食べて、ショーを見て、いろんなことをやって、それで高いのかと僕は言いたくなってくる。

二階 私は日米観光振興のためのミッションでポルチモアへ行きまして、そこで客船に乗せてもらいましたが、こんなところでずっと一か月も暮らせれば、人間のものの考え方や人生観そのものまでゆったりして、より文化的になって、それから健康にもいいでしょうね。特に日本人は、何かもうコマネズミというか、忙しすぎますからね。

宮岡 年中追いかけられているような気分でね。

二階 我々の大先輩の奥田敬和元運輸大臣が、前に奥様とご一緒に飛鳥ニュージーランドクルーズに乗船されましてね。南太平洋の船旅は、一生の思い出になるだろうと大変喜んでおられました。

宮岡 お乗り頂いたようですね。

二階 本当に微笑ましいやら羨ましいやらという感じですね。我々も年に二回ぐらい、一か月乗れなくても、一週間か一〇日ぐらいの船に乗れるようになりたいものですね。

宮岡 例えば、二階会長のお近くの阿波踊り、すでにご覧のことと思います。あれは二泊三日ぐらいで、すぐ売れちゃうんですよ。あと青森のねぶた祭、これは二週間ぐらいですが、人気が高い。こんな風に祭りに絡んでやるのは非常にいい傾向だと思うんです。

二階 それはいいですね。それこそ、私たち全国旅行業協会も大いにお手伝いできますね。それと、私たちのこの業界といいますか、特に運輸省がリードして例の観光政策審議会の瀬島会長(当時)を中心に、観光立県推進会議というのをずっと全国で行なっているんですが、そんを時に運輸省や観光協会が行なっている仕事と、このクルージングを結びつけて、船で会議をさせて頂くのもいいですね。

宮岡 素晴らしいですね。

二階 この間、和歌山県で世界リゾート博を開催した時に、外国から客船(クラブメッド2)を入れて、そこでパネルディスカッションなどをやりまして、宿泊は一泊三万円とか五万円ぐらいでしたか。しかし、それでも満員だったようですよ。

宮岡 日本船の場合、非常に難しいのは、日本籍にしますと、国内の旅行は全部やれるわけですね。ところが、ご承知のように、籍を外国に移すとカポタージュ(治海航行)関係で国内はできなくなる。

二階 そうそう。

宮岡 だから、日本籍船にすると、それは非常に有利なんですけれども、問題は「クリタルハーモニー」の食費と「飛鳥」を比べますと三倍なんですよ。というのは、やはり日本中心でやると、日本で材料を仕入れなきゃならない。

二階 東京の物価とアメリカの物価を対比しますとね…。

宮岡 全然違うでしょう。特にベーシックな肉や卵、牛乳、パンなどはアメリカは安いですからね。日本籍船である以上、日本人のお客様になるでしょう。そうなるとやっぱりサービスの関係で、日本人クルーが多い方がいいんですよね。けれども、ご承知のように、コスト的に見ると、日本人一人でフィリピン人のクルーが五人ぐらい雇えるんです。これも相当重荷になるんですよ。それから日本食というのは、器がみんな違うでしょう。

二階 これが厄介なんですね。日本料理は目で楽しむものだから。やっぱり器にも気を遣うでしょう。日本料理というのは贅沢にできていますからね。

宮岡 それだから、日本のお客様は喜んでくれるわけですが、正直に申し上げると、今でも相当な赤字なんですよね。だから、一所懸命赤字を減らす努力はしているんですが…。先ほど申し上げたカジノなんかできるようになれば、この副収入はかなりありまして、「クリスタルハーモニー」なんかそれで相当助かっているんですよ。

二階 これは、ぜひ国会の方でも思い切ったクルーズの支援策を考える必要がありますね。

宮岡 ぜひお願いいたします。

二階 国会議員にしても、残念ですがクルーズを楽しむ、というレベルまでなかなか届かないですよ。まず畷がなくてね。

宮岡 おっしゃるとおりです。

二階 解散風が吹いてきているが、「飛鳥」へ乗って一か月ほど行ってこようかと…。これは大分忍耐というか、精神衛生上無理ですね(笑)。

宮岡 連合の前会長の山岸さん、あの人はずっと忙しい思いをしてきた人だけれども、リタイアしたでしょう。それで乗ったらやみつきになられたようで。あの方好きでよく乗っているんですよ。

二階 好きだそうですね。これからは何といってもクルーズの時代ですから。特に飛鳥には一度乗ってもらいたいですね。

宮岡 一回乗られると、たいてい気に入られると思います。本当に暇と金があったらまた乗りたいと思うこと、請け合いますな。

二階 よく少年の船とか青年の船という、海で勉強しながらずっと航海を楽しむ企画がありますが、勝手な行動ができませんから、乗った以上はゴールまでちゃんと度胸を決めてやらなきゃいけない。あれは「同じ船に乗った」という言葉があるようで、本当にいいものですね。

宮岡 仲間意識が非常に残りますね。ただ、日本はまだまだ、六対四の割合でそういう研修が多いですよ。外国の場合、研修団なんてないんですよ。

二階 それが日本と外国の違いですね。日本人が旅行するときは、何か目的がないと出かけられない、何かいかにも勉強してくるという意識が必要なんですね。

宮岡 そういう意味では、すごく毛色が変わっているのは、最近は、景気が悪いものだから少なくなって困っているんですが、企業のインセンティブツアーというのがありまして、永年勤続とか報奨などで皆さんをまとめて乗せる。これは企業の方が相当金をつけてくれるからありがたいんですよ。

二階 私も運輸政務次官を二度やらせてもらったんですけれども、その都度、運輸省の講堂で運輸業界に貫献した人を奥様ご同伴で表彰しますね。それをただ表彰するだけじゃなくて、半分ぐらい本人に負担してもらって、半分ぐらい国が出すことにして、クルーズなんかを経験させると、またすばらしい知識とかアイデアとか、また人間的な交流とかが深まりますね。日本人にやっぱりゆとりというものを与えることによって、新たな発想を期待できますからね。

宮岡 活力が生まれますよね。
二階 改めて新しいエネルギーも涌いてくる、アイデアも湧いてくるでしょうね。とにかく忙し過ぎる。

宮岡 それを船で解きほぐして…。
二階 ええ。しかも、私たちの国は海に面しているわけですから、海洋国日本にも「海の日」ができましたから、今年はクルーズの繁栄する年になって頂きたいと思うんですが。

戦前、戦後を通じて
初の世界一周クルーズに挑戦

宮岡 私も会社として世界一周を目玉にしたいんですよ。今までも日本籍船が世界一周をやったことがない。戦前もないです。それを私が会長の時にトライしてみようと果敢に始めたんですよ。

二階 一生働いて、子供や何かにお金、土地、財産を残すのもいいけれど、ゆっくり世界一周してもらいたいですね。

宮岡 そうなんですよ。私はそう思うんです。そこはアメリカに倣っていいんですよ。

二階 我々も、もう父や母はこの世におりませんけれども、もし元気でいたら、いってらっしゃいと言いたいですね。そろそろ我々も言ってもらわなきゃいかんですな(笑)。

宮岡 二階会長はまだまだお若いですよ。私なんかちょうどそれに当たるんですよ。元気なうちに乗らないと、もう後がないですからね。冥土の土産にはいいんだろうね(笑)。

二階 宮岡会長のように世界の海を航海されていると、気持ちも大きくなって羨ましい限りです。
今後は、ぜひ私ども業界の、実際に旅行を扱っているメンバーなんかが集まりましたときに、郵船の方にご講演頂ける機会を設けて頂ければありがたいですね。本日は、お忙しいところ、本当にありがとうございました。素哨らしい旅をエンジョイして下さい。

付記 この対談の翌々年に宮岡会長はご逝去されたが、私にとっては大変印象深い対談であった。日本外航客船協会のご了承を得て、ここに再録させて頂きました。(二階)

 

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