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「観光立国宣言シリーズ」

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協業化の推進は
 小旅行業者に大きな力

          (社)全国旅行業協会会長代行
今野 三男

 中小・零細な事業者の集まりである全国旅行業協会は、[協業化の推進」を合言葉に会員の総合力アップに努めている。今野同協会会長代行と、21世紀の基幹産業=観光を支える同協会の使命と役割を語り合う。−−平成12年1月対談

こんの みつお

昭和23年東京急行電鉄入社。34年日本交通株式会社入社。43年日本観光興業株式会社設立、代表取締役就任。平成元年(社)全国旅行業協会東京都支部長、3年同協会副会長に就任。11年より会長代行。

協業化の推進は
小旅行業者に大きな力

今野 新年、おめでとうございます。

二階 明けましておめでとうございます。

今野 昨年(平成十一年) 十月に運輸大臣にご就任になって以降、ご多忙な日々をお過ごしのこと、テレビ等を通じて拝見しております。
年の初めに当たり、まず全国旅行業協会 (以下全旅協) 会員にメッセージを頂きたいのですが。

二階 全旅協五九〇〇社の会員、社員及びご家族の皆様、お健やかに新しい年を迎えられたことと思います。
 本年が皆様にとって実り多い年であるよう心からお祈り致します。
 今年は新たな千年紀の始まる記念すべき年です。いよいよ二十一世紀に向けて、観光産業は日本経済を活性化し国民生活の向上にも貢献するとの思いを新たに、不況からの脱出、そして旅行業界にとって明るい年とするため、官民協力して観光振興に一層力を入れていきたいと考えています。
 今年から改正祝日法が施行され、ハッピーマンデーとして、「成人の日」と「体育の日」の連休化が制度化されました。そのほか、今年は全部で三連休が七週もできました。観光振興に有効活用が期待されています。
 全旅協からは立場上離れてしまいましたが、皆様のことを片時も忘れず、今度は運輸大臣として、観光行政・運輸行政に全力を尽くして頑張ります。
全旅協会員の皆様も、この困難な時代を一致協力して頑張って頂きたいと思います。

今野 どうもありがとうございます。全旅協会員一同、一丸となって頑張る所存です。

「協業化」に向けて
さあ元気を出して頑張ろう

今野 全旅協の本年の目標といいますか、重点課題としましては、「協業化の推進」を掲げています。会員相互間、または各支部間の協業化を推進することでございます。
大臣もご存じのとおり、我々会員の事業規模は中小から零細の非常に小さい事業者が多く、個々の会員においては事業の企画、営業、販売のあらゆる面において、大手旅行
業者に対抗していくことは非常に困難です。
そのため、支部やブロック単位で協同組合や事業会社を作って、旅行素材の共同仕入、共同企画、共同販売を行なったり、グループなり協同組合なりのブランド商品を造成するなど協業化を図ることがぜひとも必要です。
今年は、この協業化の推進に向けて、基本スタンスを、滑り出すためのレール作りを行ないたいと考えております。
 ところで、本年の経済の見通しと、十二年度の政府予算等について、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

二階 不況が続いており、消費が伸び悩んでいますので、会員の皆さんがご苦労されていることを承知しているだけに、景気の回復に全力を上げることが最も重要と考えています。
 経済は、国民の皆さんに「もう安心して下さい」とまで言えないまでも、前途にようやく明るさが見えつつあることは事実です。景気対策のために公共事業も昨年並みの大型予算を組みました。
今、日本の財政は困難な状況にありますが、まずは景気回復を着実なものにしようという小渕内閣の決意を示したものであります。
 国民の皆さんが明るい気持ちで旅行を楽しんで頂けるような機運も、盛り上げなければならないと思います。「さあ元気を出して頑張ろう」と申し上げたいと思います。

今野 そうですね。旅行を皆様に楽しんで頂き、明るい気分が盛り上がれば、いろいろな面で景気回復にも?がるわけですね。
 それから、観光振興によって地域経済を活性化しようという機運も高まっております。
 たとえば、各地方、各地域の伝統芸能やお祭りなどのイベント、伝統工芸品や特産品などの地場産業、名物料理や郷土料理などを生かした旅行商品等を造成し、その旅行の振興を図ることによって地域経済の活性化につなげていこうという動きなどです。
 民間ではこのような活動をしているのですが、運輸省の取組みについてお伺いしたいと思います。

二階 観光業界は、年間売上高二〇兆円、関連産業への波及効果も含めると約五〇兆円と経済に与える影響が極めて大きい。ですから、観光産業は二十一世紀において基幹的な産業となりうるものであり、地域経済の再生を図るためにも、今後、各地域の関係者が一致協力した観光振興の推進が重要な課題であると認識しています。
 政府としても、平成十年十一月に決定された「二十一世紀先導プロジェクト」の一つとして「観光の振興」が大きく位置づけられるなど、政府における観光の位置づけはこれまでにない高まりを見せています。
 長引く不況等で国内観光は低迷し、観光業界は自信を失っている状況にありますが、ハッピーマンデー法の施行を契機として、旅行機運を高め、対外キャンペーンの実施等の観光振興方策を強力に展開したいと思います。

今野 近年、インターネットを中心とした情報革命が著しく進展していますが、観光振興には、二十一世紀に相応しい観光情報システムの整備が必要ですね。

二階 二十一世紀においては、日本でも、従来型の店舗におけるチケット購入、雑誌・広告による情報入手から、インターネット等を使った旅行の予約、電子決済、携帯電話やカーナビゲーションシステム等携帯端末により観光情報を収集して旅行するようになる時代が到来しつつあります。
 観光分野でも情報化への対応については、前々から申し上げて参りましたが、極めて重要であります。情報ネットワークの推進により集客能力が増強され、その利点は極めて大きいものとなるでしょう。
 運輸省では、インターネット等を通じて国内の各種観光情報を日本語及び英語により国内外に提供する観光情報システムの整備を推進中です。
また、電子地図上にさまざまな情報を表示するGIS技術(地理情報システム)の活用による携帯情報端末からの観光情報提供システムも推進しています。これにより、国民の利便性が飛躍的に向上することが期待されます。

今野 全旅協でも、協業化推進特別委員会が全旅協情報ネットワーク(ANTAネット)の構築を検討し始めたところです。運輸省の観光情報提供システムが完成すると、日本に興味のある外国の方も喜ぶでしょう。インバウンド観光増加に結びつくと思います。

WTO総会やワールドカップ等
大イベント開催で観光交流にはずみを

今野 ところで、二〇〇一年WTO(世界観光機関)総会、二〇〇二年ワールドカップサッカーが日韓共催で行なわれることになりましたが、これを契機に国際観光交流も大きく拡大しそうですね。

二階 二〇〇一年WTO総会、二〇〇二年ワールドカップサッカー大会と日韓が共同して行なう国際的イベントが続々と開催されます。
新しい日韓友好の時代の幕開けですから、ぜひ成功させたいと思います。
 平成十一年十月、韓国の済州島の第二回日韓閣僚懇談合に小渕総理とともに出席しましたが、朴観光部長官との会談においても、両国の観光交流を倍増し、世界から日韓両国へ外国人観光客を誘致するため、お互いの観光施策について緊密な連携を図ることで合意しました。
 特に、ワールドカップサッカー大会は、全世界のテレビ視聴者が延べ四〇〇億人といわれる世界的にも関心が高いイベントですし、競技開催地が全国にわたることから、全世界に向けて美しい日本を広報宣伝し、来訪する外国人観光客の受け入れ体制を整備する絶好の機会となります。
 また、二〇〇〇年には九州・沖縄サミットが開催されますが、これも、日本の多様な地域や文化を発信する絶好の機会です。
このため、海外メディア等に広告を掲載するなど、この好機を活かし、積極的に日本の知名度向上を図ることにしたいと思います。

今野 国際観光交流につきましては、大臣が常日頃おっしゃっておられるように、私も、観光は平和のパスポートであり、平和産業であると思います。
世界の国々が平和で、国と国との相互理解を深めていくには、観光による交流が一番だと思います。 
 毎年、日本からは海外へ一六〇〇万人を超える観光客が出かけておりますが、日本へは海外のお客さんが四〇〇万人ぐらいしか釆ない。これは、大臣がおっしゃっておられるように、ぜひとも是正しなければならない課題だと存じます。
 私ども全旅協といたしましても、海外からのお客さんの受け入れ体制を整えて、外国のお客さんに満足して頂けるような旅行商品づくりをしていかなければならないと考えております。

二階 観光産業が、今後も日本経済の再生に対して大きな役割を担っていくことは言うまでもありません。
 観光産業のこうした重要性に応じた社会的位置づけを確立するため、昨年十二月に、主要観光関係企業、観光関係団体等を広範に網羅する「観光産業振興フォーラム」が結成され、内外の諸問題の改善に積極的に取り組んでいくこととなりました。
 観光業界は正直言って、それぞれ有力な企業や有力な団体が綺羅星のように並んでいるにもかかわらず、ひとつのテーマにみんなが力を合わせて進んでいくということには、やや欠けている嫌いがあると痛感しておりました。
 数多くの観光関係の団体が協力、協調しあいながら、一つの目的に向かって進んでいくことこそ大切なはずです。  
 そこでまず、JATA(日本旅行業協会)の松橋会長や石月日本観光協会会長等に呼びかけまして、「この際みんなで力を合わせ、観光産業は二十一世紀の基幹産業であるべきということをお互いに主張しながら、本当に光り輝く基幹産業への道を拓いていかなければいけない」と、観光関係の企業と業界団体を広範に網羅するフォーラムの設立についてご提案申し上げたのです。
 幸いにも、関係の皆様方にもご賛同をいただき、今回、西武のオーナーの堤義明氏が代表幹事となられ、昨年の秋に発足に至ったものです。
 私は運輸大臣として、これを立ち上げることができたことを大変うれしく思っております。いわゆる経団連の観光産業版とも言われるフォーラムに仕上げるため、熱意を注いで運輸省が全力投球でやっていこうと思っております。
 このフォーラムの設立を機に、観光関連の産業界が一つになって観光振興に取り組み、日本経済の活性化に大いに役立つことを期待しています。

今野 はい。いつも二階大臣がおっしゃっていることですよね。「観光産業は、日本経済の活性化や地域経済の振興に重要な役割を果たしているし、雇用の拡大にも大きく貢献しているんだ」と。我々観光関係者は、日本経済の一翼を担っているという誇りと自覚を持つべきなんですね。堂々と胸を張って…(笑)。

二階 そうですよ。胸、張ってください(笑)。

北海道開発庁長官として
積極的な観光振興で道経済の回復を

今野 大臣は北海道開発庁長官も兼務されておられますが、北海道観光に関する印象、今後の可能性についてお聞かせ下さい。

二階 北の大地と言われる北海道のあの広さ、そして素晴らしい自然。私はヨーロッパと同じようなイメージを抱いているのです。
私は南国の紀州出身ですから、北海道のああいう気候・風土というものに常にあこがれを持っていました。
 今度の北海道開発庁長官は、事実上、予算を組んだり機構を整備したりする最後の北海道開発庁長官なわけです。  
二〇〇一年からは、運輸省、建設省、国土庁、北海道開発庁、この四省庁が合同して国土交通省となるわけです。   
そういう意味で、縁あってこの立場におかれた以上、北海道の振興のためには、観光振興という問題を横に置いて、他の政策を推進するというわけにはいきません。
北海道経済は依然として厳しい状況にあり、景気に即効性のある観光産業の振興を緊急の課題として積極的に取り組む必要があります。
 現在、北海道には年間六〇九万人の観光客が訪れており、うち一七万人は外国からの観光客です。これを北海道の有する観光の魅力と官民の努力の結集によって、今後一〇年間で年間観光客数を一000万人に、外国からの観光客を六〇万人に増加させていきたいと考えています。

今野 私も、大臣のおっしゃるように北海道観光の将来性は誠に大きなものがあると思います。そのためにも、今後一〇年間の誘致目標が具体的に決められたことが大きいですね。
以前大臣が運輸政務次官をされていたときも、確か日本とカナダ、日本とアメリカの観光交流について拡大目標をお決めになって、その後、大きな進展をみせました。
北海道観光も、これで関係者の力の入れ方が違ってくるのではないでしょうか。
 大臣の肝煎りで、さっそく、「北海道の観光を考える百人委員会」がスタートしましたね。

二階 昨年十一月二十八日のことでしたね。北海道の観光振興を図るため、北海道の有識者あるいは北海道の観光振興にご協力くださる方で、全旅協からも会長代行にご出席頂いておりましたが、幅広い見地から振興策を論議する「北海道の観光を考える百人委員会」が設立されたわけです。  
私は、この委員会が動き始めると、大きな流れやうねりを作っていくと思います。今日も百人委員会で東京から北海道にお出でになった航空関係の方、それから百人委員会の会長の松田さん(JR東日本社長)や会長代行の児島さん(NTT相談役)が北海道開発庁にお越しになりました。  
皆さんは、「北に向かって旅をしよう」ということで意気軒昂ですから、私は一〇年を待たずして、北海道への観光客一000万人突破は不可能ではないと確信を抱いているんです。やりますよ!
 全旅協の松浦北海道支部長や中井副支部長さんには、いつも私が北海道に行く度にお目に掛かっています。なんだか親戚の人に出会ったみたいな気持ちでね(笑)。いつもご声援を頂いていることに感謝しています。
改めて申し上げるまでもございませんが、全旅協の仕事をさせて頂いて、私は、日本国中に友人がたくさんできたことを何よりも幸せに思っております。

今野 大臣もご存じのとおり、我々全旅協の会員旅行業者は、日本の北は北海道から南は沖縄まで全国津々浦々に約六〇〇〇社あり、事業規模は小さいながら地元に根付いた営業を行なっております。そういう地の利を生かしたきめの細かいサービスが、我々の強みであり、セールスポイントだと思います。
むしろ小さい会社であることを特色として、大きな会社にはできないお客様に密着した小回りのきく営業展開を行なうことが大切だと思います。
また、先ほど申しましたように、本年は全旅協の協業化元年の年とすべく、六〇〇〇社の会員の力を結集し、協業化による業者間の提携等により安価で良質の旅行商品を提供していきたいと考えております。
 そのためにも、会員の団結をさらに強固なもの
とし、叡知を結集して、まだまだ厳しい経済状況を打開していかなければならないと考えております。
私も二階大臣の後を受けまして、全旅協の会長代行を務めさせて頂いておりますので、これまでの大臣のご努力、ご尽力を無にしないよう精一杯頑張らせて頂く所存でございます。
今後とも、ご指導、ご鞭撻のほど重ねてお願い申し上げます。
 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

 

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