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  平成十一年十一月十九日、二階は大臣就任後初めて成田空港を視察することになった。
 成田空港の二本目の滑走路として、運輸省が計画している暫定滑走路の着工が目前に迫っていた。
 空港視察に先立ち、空港近くのホテルで周辺市町村長らと懇談し、首長からは、騒音対策や地域振興策を求める要望が出された。そこで、今後改めて都内で懇談会を行い意見を集約することにした。
 空港到着後、新東京国際空港公団の中村徹総裁らと共に、管制塔や暫定滑走路計画地付近をバスで見て回った。
 さらに、昭和四十六年の強制収用の際に、反対派との衝突で亡くなった三人の警官の碑に花束を供え、この人達の死を無駄にしないためにも早く計画が実行に移せるよう努力することを心に誓った。
 その後、会見を開き認可、着工の時期について述べた。
「最終判断の時期が近づいている。新東京国際空港公団からは年内着工の強い意思表示があった。地元自治体との調整を積み上げて時期を決めたい。が、現時点では未定だ」
 反対派への対応についても「粘り強く滑走路の必要性を説明していきたい」
 ただし、二階自身が反対派を訪問することについては明言しなかった。
「私が行くだけで解決するとは思わない。空港公団が働きやすいように、汗をかきたい。市町村とも、相談して最善の方法をとるつもりだ」
 その後、県庁で千葉県の沼田知事と会い、羽田空港の国際化についても話しあった。
 羽田空港を夜間に限って国際化し、チャーター便の発着を認めるという件について、千葉県との間で対立していたのである。
 羽田空港は、二十四時間運用が可能となり、早朝と夜間に発着することができるようになった。それゆえ、チャーター便に限って国際線に活用してはどうかということを以前から検討していた。
 東京周辺に住む人たちは、海外に行くにも便利になる。大変喜ばれるが、問題はその飛行機が千葉の上空を飛ぶことだ。騒音が発生する。
 それに、国際線は最初から成田空港と決められている。第二期工事をはじめているのになぜ羽田から離発着させるのかと千葉県側から激しい抗議を受けていた。
 しかし、成田空港への乗り入れを希望している国は、五〇か国もある。その経済効果ははかりしれない。それらの国の要望を蚊帳の外におくような状況を続けることは、国益のためにも誠に残念な問題である。
 成田空港は、二〇〇二年に二二〇〇メートルの暫定滑走路が完成する。その滑走路である程度は補えるが、いかんせん二二〇〇メートルでは短い。大きな飛行機は、離発着が不可能だ。だからこそ、羽田空港を活用する。羽田空港の発着枠は、国の大きな資源であり、朝晩の空き時間にチャーター便に限って羽田空港をフル活動、フル活用していくべきである。
 二階は思っている。
〈ただし、少なくとも千葉県の意向を無視して羽田空港を国際化するということはまったく考えていない。これからも千葉県側の理解が得られるようさらに努力をしたい〉
 十一月三十日の朝、新東京国際空港公団の中村徹総裁と運輸省、千葉県幹部は、成田空港の暫定滑走路の唯一の未買収地である一坪共有地の所有権を持つ反対派農家の堀越昭平氏を訪ね、二階運輸相名の親書を届け、話し合いによる解決を求めた。
 堀越氏は、話し合いを受け入れ、一坪共有地の譲渡に同意することになった。
 十二月一日午後、堀越氏は県庁で、共有地所有権を譲渡する合意書に、新東京国際空港公団の中村徹総裁や沼田武知事らと共に署名した。
 午後六時半、二階は中村総裁を大臣室に呼び、暫定滑走路の工事計画への認可書を手渡し、これまでの苦労をねぎらった。
 十二月二十日、十二月三日の成田空港の暫定滑走路の着工後初めて、二階と空港周辺の一七の市町村長らが都内のホテルで前回の視察のときに約束した懇談会を開いた。
 各首長らからは、防音や落下物対策の徹底のほか、空港を中心にした道路網の整備や工業団地の企業誘致の後押し、農村公園の設置などの地域振興策を要望された。
 要望の中には、運輸省の管轄外の事業もある。そこで、二階は各省庁に対し、地域の要望があった事業への理解を求める文書を運輸相名で提出し、要望を実現するため運輸省としても努力することを明らかにした。
 一方、二階は、滑走路を二〇〇〇メートルに延長する工事を進めている南紀白浜空港(白浜町)についても、十一月十七日、和歌山県田辺市で記者会見し明らかにした。
「供用開始は平成十二年九月三十日です」
 延長工事は国と県で約三八億円を投入している事業だ。供用開始時期が明らかになるのは初めてである。
 二階は、二〇〇〇メートル化に伴い、新設する滑走路や航空灯火などの使用許可を求めて、県から運輸省に対して出されている空港施設変更許可申請についても、「これまでも地元の積極的な取り組みがあった。十分に審査して今月末ごろまでに許可したい。細川内閣で二度目の政務次官就任の際、県から強い要請を受けた。その後、実現に向け県民の皆さんと一緒に運輸省に働きかけてきました。今、担当大臣として、ゴーサインを出す立場になった。これも県民の皆さんのご支援のお陰だ」と心境を述べた。
 滑走路の二〇〇〇メートル化は平成八年に国の第七次空港整備五か年計画に盛り込まれ、この年に完成した現在の一八〇〇メートルの滑走路を南東側に二〇〇メートル伸ばそうと、平成十年四月に着工し、平成十二年四月現在、ほぼ完成している。
 滑走路延長で、乗客二五〇人から三〇〇人規模の中型ジェット機が乗り入れることができる。また、香港やバンコクなどへの遠距離チャーター便就航も可能になると地元県民からも期待されている。
 また、二階は、長さ一〇〇〇メートルのメガフロート(超大型浮体式海洋構造物)による首都圏第三空港も視野に入れている。
 メガフロートは、空港を想定して現在神奈川県横須賀市の海上に浮かべて試験を続けている。将来四〇〇〇メートル程度の滑走路としてメガフロートを活用できないだろうかという提案もしばしば聞く。
 平成十二年の七月頃には、実際に飛行機を離発着させる。
 参議院の予算委員会で、二階は質問された。
「メガフロートは将来、どういう使い道があるか」
 二階はこう答えた。
「メガフロートにモデル住宅を建て、品評会をしたらどうか」
 二階は思っている。
〈コストは、たしかにかかる。しかし、私は、別名「海の大地」といわれるメガフロートに夢を重ね合わせている。メガフロートに植えた芝生も、完全に成功している。植木を植えてみることや、農業の実験をやってみることなども面白い。海に浮かぶ大地としての役割を大きく拡げることになると思う。そのために、みんなに参画してもらわないといけない。音楽のコンサートを開く計画もある。大賛成だ〉
 また、二階は、予算がかさむため後回しにされてきた港湾関係の整備にも取り組んでいる。
 アジア諸国の港湾施設の整備は進み、特にシンガポールや香港は今やコンテナの取扱量で世界一、二位の港湾となっている。物流は、産業の動脈であることには違いはないが、同時に、国民生活にも重大な影響をもっている。港湾はそうした国際物流の九九%以上を占めている。
 たとえば、オーストラリアのブリスベーンの牛肉を船舶で日本に輸入した場合、海上の運搬料、港湾での荷揚げ料、スーパーマーケットまでの運搬料を合わせても、スーパーで一〇〇グラム一七〇円で売られている肉の物流コストはわずか一円五五銭ほどしかかからない。
 輸入牛肉は、現地の二倍から三倍の値段だと思っている人がいるが、それは大きな間違いだ。このことを広く国民に理解してもらいたいと考えている。
 二階は思う。
〈空港はいらない、港湾はいらない、公共事業は悪だといわれる人がいるが、そんなことはない。港湾関係や空港関係など多額の予算を必要とするものについては長期的な展望で考えてほしい、ということを積極的にPRし、国民の理解を得たうえで前進していくようにしていかないといけない〉

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