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おわりに


二階俊博


 二〇一五年には、六十五歳以上の高齢者が全人口の約四分の一を占めるという高齢社会を迎えます。また、障害のある方々の社会・経済活動への積極的参加の実現が強く求められております。こうした中で運輸省、建設省、自治省、警察庁は、高齢者や障害者のある方、妊産婦の方など誰でもが気軽に安心して公共交通機関を利用して移動できるように「交通バリアフリー法」を国会に提出し、多くの国民の皆さんーー政党政派を越えた衆参両院の各委員会での国会議員の皆さんのご協力を頂いてこの法案を成立させることができました。
 国会審議の最中に交通エコロジー・モビリティー財団(金丸純一理事長)の主催する「交通バリアフリーの実現を考える集い」が、去る三月二十八日東京有楽町の日比谷ビル七階の「国際ホール」で開かれました。
 私が駆けつけてみますと、およそ千人の座席はすでに埋めつくされ、車椅子の方々も参加されて、盛大に開会されました。当日は約二時間半にわたっての熱心なシンポジウムとなりました。主催者のあいさつの後、私は、「霞ケ閑の各省庁には縄張り争いがあるといわれているが、今回の交通バリアフリー法案に限っては、四省庁が本当に協力しながらやっている。省庁の再編により、建設省と運輸省が一体となって国土交通省が生まれる。巨大官庁になるといわれるが、その巨大官庁がバリアフリーを優しさの心をもって力強く後押しすることになることにも大きな意義があります」と申し上げました。
 さらにバリアフリー法の成立にご理解、ご協力を頂き、当日スピーチを頂いた専門家の皆さまをここに記してご協力に対し改めて感謝を申し上げる次第であります。
 

  三星昭宏 近畿大学理工学部土木工学科教授
 松尾 榮 日本身体障害者団体連合会会長
 安間謙臣 東京都都市計画局次長
 村谷昌弘 日本盲人会連合会会長
 犬伏由利子 消費科学連合合副会長
 河合洋祐 全日本聾唖連盟副理事長
 ロレイン・ラインボールド 比較文化研究家・子供地球基金副代表
 妻屋 明 全国脊髄損傷者連合会会長
 見坊和雄 全国老人クラブ連合会副会長
 赤瀬達三 黎デザイン総合計画研究所代表取結役
 清水喜由 救急へリ病院ネットワーク理事
 白石真澄 ニッセイ基礎研究所主任研究員
 

  特に、この日は、各党から多くの国会議員が傍聴してくれていました。このようなシンポジウムの開催などの形で表わされた世論の後押しのお陰もあって、衆議院選挙前の与野党が厳しく対立する中にもかかわらず、結果的に全党一致のご賛成を湧いて「交通バリアフリー法」が無事成立したのであります。約三十時間の慎重審議の上に、私共の政府案では十年となっていた見直し規定を、五年に修正されました。国会のご審議の中で、十年が五年に修正され、従って五年早く見直しを行い、さらに前進させようという意欲的な、しかも建設的な修正が成立したことに対し、私は心から深く敬意を表するものであります。
 これからはいよいよこの法律に基づいて予算を確保し、実行に移し、関係者の皆さんの期待に応えなければなりません。
 交通バリアフリー法の成立に伴って、時を同じくして建設省の住宅宅地審議会において次のような答申が出されました。
 「高齢者等への配慮については、高齢者世帯数及び比率の急激な増加が予想される一方、加齢等による身体機能の低下が生じても基本的にそのまま住み続けられるような性能を備えた住宅(バリアフリー化された住宅)のストックは非常に少なく、これに対する不満も世代を問わず高い状況にある。このため、バリアフリー住宅に居住する高齢者の割合の引き上げ、特に身体機能が低下した高齢者への適切な居住の確保を念頭に置きつつ、ストック循環を考慮し、高齢者のいる世帯の数(二〇一五年時点で全世帯の約四割)に見合う十分な量のバリアフリー住宅のストックを社会全体として備えることを目指して着実にストックの増加を図るべきである。なお、二〇一五年において主として新築により『手すりの設置』『段差の解消』『車椅子で通行可能な廊下幅』等ひと通りの基本的なバリアフリー化がなされた住宅のストックの割合は、現状では三%であるのに対して、公民合わせた努力が講じられ、バリアフリー化が順調に進展することを前提に、全ストックの約二割とすることを目指し、このほか、居住者の個別の事情等に応じバリアフリーリフォームがなされた住宅を全ストックの約二割とすることを目指すべきである。」等、早くも住宅のバリアフリー化に積極的に取り組んで頂いております。
 さらに、郵政省では、八代大臣のリーダーシップによって、「情報バリアフリー環境の整備」として、すべての人が使用できるというユニバーサルデザインの考え方に基づき、情報通信端末に求められる機能を具体化するガイドラインを策定するとともに、情報バリアフリー型通信・放送システムの研究開発、ユニバーサル端末に関する研究開発といった高齢者・障害者向けの情報通信技術の研究開発を実施しています。各省においても、バリアフリーを真剣にご検討を頂いている様子を耳にすると同時に、早速、民間企業においても、バリアフり−の社会を築くために、交通だけではなく高齢者や身体のご不自由な方々を取り巻く全ての生活の環境がバリアフリーであり、みんながバリアのない文化生活を営むことができるよう努めることによって、二十一世紀が明るい希望の持てる輝かしい時代になるのではないかと夢がふくらんで来るような気がする昨今であります。
 ご指導、ご協力を頂いた多くの皆さまにあらためて「ありがとうございました」と心から感謝を申し上げる次第であります。

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