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安全で平和なバリアフリー環境


菊竹清訓


 都市は、若者や健康な人たちだけのものではない。子供や老人もいるし、身障者もいれば、病人も住んでいる。高齢化社会に向かって、こういうみんなの平和で安全な環境をめざすのが、バリア・フリーの精神であり、目標であろう。
 それにはまず身近な住宅の内部の領域があり、住宅のまわりの周辺環境があって、これらをバリア・フリーに変えていくことが、今切実に求められていることであり、国際的常識である。
一見些細な床の凹凸や段差をなくし、車椅子に対してだけでなく、ごく普通の歩行に対して障害にならないようにすべきである。
 さらに転んでもケガをしないように、床材を柔らかいクッション性のあるものにして、手足や腕を折ったり、簡単に骨折するおそれがないようにするのは当然のことである。
 また壁には、できるだけ手摺をつけてこれに沿って歩けるようにし、便所や浴室などにも、できるだけ手摺をとって、倒れたりしないような工夫をすべきである。
 キッチンは、特別の食事の準備などで、調理台に、高さの可変性を計ったり、器具類の収納をわかりやすく見えるように、傾斜させたカガミを取り付けたり、照明を明るくして、危険を避けるなどの配慮もあり、リモート・コントロール・スイッチの工夫もある。ドアはスライディングの方が場所をとらず、衝突の危険も少ない。など、改善すべき問題も多い。
一方、住宅のまわりの環境では、出入口の段差や勾配ですべったり、つまづいたりしないようにし、特に歩道と車道の段差は、これをなくす方向が、新しい排水溝で、世界の都市で実現している。
 また、塀や棚をやめ、高さを低くして視界をひろげ、生垣で緑化するなどは、防犯上にもすぐれた解決である。自動点滅の防犯灯を加えるなど、僅かな気配りでずっと住みやすくなる。
 住宅の内部改装や、独立・集合住宅の別なく、バリア・フリーへの指向は、ごく人間的な配慮であって、二階前運輸大臣のような指導的な政治家が、住宅環境の改善を一層推進されようとしている姿勢は、わが国の居住環境にとって、福音である。(日本建築士会連合会会長)

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