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温かな「心」を添えて


梅田恵以子


 花鳥風月、その風雅の中に歴史を書く。
 私はこんな生活を四十年続けてきた。地方の取材も多く、町や村を訪ね歩き、山や川辺を歩き、海に遊び、誰よりも健脚で、紀州という一地方を書き続けた。
 ところが十年ばかり前から膝を痛めて、一時は歩行困難にまでなった。「女性には多いですよ」といわれながら、いつの間にか高齢者の仲間入りをしている。
 なさけないことだが、道路の突起につまづく。駅の移動は陸橋の昇降が辛い。和歌山県では駅のエスカレーターの設置が少なすぎる。それも上りだ。膝を痛めてから気が付いたのだが下りがこわい。足も痛いが、目もとが不安なのだ。照明、階段の素材にも問題があるのだろうか、老人が転ぶのは下り階段が多いと開く。口惜しいが年とともに動きがにぶくなる。迷惑はかけたくないが旅をしたい。取材のおりおりにふれた自然。この魅力は断ちがたい。
 そんな私が和歌山観光百人委員会で二階俊博代議士の「心のバリアフリー」の話を聞いて感動した。移動するために物理的な障害を除去するという。これを一生懸命考え続けた人たちがいて、二階さんが運輸大臣の時に「交通バリアフリー法案」が成立した。
 二階さんは「観光はここから考えよう」と話しておられた。五十人の車椅子の人たちが東京駅に集まり旅をしたのだという。その行先は修禅寺だった。なぜ−。ここは駅にも旅館にも高齢者や障害者の配慮がなされているという。
 更に心を添えること。手をさしのべる優しさ。言葉をかけることもいいだろうと、子どもの教育問題にまで話はひろがった。
 車椅子生活二十七年という入代英太前郵政大臣は「法律は決して万能ではない」「育てる責任は私たちにある」と人の心で支えようと呼びかけておられる。細やかな心づかいで、日本は精神的に豊な国になるだろう。
 少し先の明るさが見えてきた。(随筆家)

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