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記念講演

「アジアにおける観光産業の再生と未来のために」

衆議院議員
社団法人全国旅行業協会会長
二 階 俊 博

新たなパラダイムにおける観光振興の国際協力会議(アジア観光活性化会議)において日本の観光産業界を代表して講演
二〇〇三年七月十四日 於:香港 


 「観光について一言」 ――近ごろ、全国各地の知事や市町村長で観光を語らない人はいないくらい、それぞれの地域が工夫を凝らし競い合っています。ブームのようになりつつある観光振興に火をつけたのは、小泉総理の「観光立国宣言」であります。総理自らが先頭に立って旗振りをされるだけで、これだけ大きな流れになりつつあります。担当大臣の扇国土交通大臣、福田官房長官、竹中金融担当大臣、さらには内閣府特命顧問の島田晴雄慶大教授等、まさにトップリーダーの人たちが、正面から取り組んでおります。
 去る七月十四日、香港で開催された「新たなパラダイムにおける観光振興の国際協力会議(アジア観光活性化会議)」に、我が国の観光産業を代表する新町光示日本旅行業協会(JATA)会長をはじめとする、三〇名の皆さんと一緒に私も全国旅行業協会会長として出席しました。アジア各国を中心に参加四十八カ国、約一〇〇〇名の観光関係のリーダーたちの集いでした。今年はSARSという思いがけない災難が、特にアジアの観光産業を直撃しました。しかし、困難な時こそ、お互いに団結して立ち上がろうというのがこの「香港会議」の狙いでもありました。総会では、シプリー前ニュージーランド首相に続き日本の観光産業界を代表して次のようなスピーチを行い、アジアの団結と協力を呼びかけました。

 ロン・ヨンツー議長、アジア各国の閣僚の皆さま、そして、列席の世界各国の観光に関わる指導者の皆さまに対し、日本の観光産業関係者を代表してご挨拶を申し上げます。
 
 突然、アジアの国々を襲ったSARSの災難から、ようやく、立ち上がろうとしている時に、私たちアジア各国の政府代表、観光機関、観光産業の皆さんが、再起を誓って、ここ香港に結集いたしました。アジア観光活性化のための香港会議は、観光交流の再活性化に向け、アジア的規模における観光振興の相互支援戦略や、未来に向けての建設的な意見を交換する有意義な機会となるでありましょう。この会議を企画された「ボアオ・アジアフォーラム」「WTO(世界観光機関)」そして「香港政府」に対し、心から敬意を表するものであります。

 世界における観光の現状、特に、アジアにおける観光産業の厳しい状況から、今回の会議がスタート台となり、一日も早い回復に大きな弾みがつくことを心から期待しております。
 観光産業は二十世紀の後半より、世界の各地で著しい発展を遂げてまいりました。その中でも「国際観光」は国境を異にする国民が相互に交流し、多様な文化や歴史、国民性に接することにより、国境を越え、言語の障壁を越え、相互に理解し尊敬の念を深めることにより、やがては世界平和にも貢献する崇高な任務を発見するに至ったのであります。

 全ての国において、観光産業は経済の活性化や雇用の拡大の面で重要な役割を果たしております。世界各国では一〇人に一人ないし一五人に一人が、観光産業に従事していると言われております。日本においては、約四〇〇万人の人々が観光の現場で活動しております。経済波及効果はすでに五〇兆円(約四〇〇〇億ドル)に達し、観光産業こそ、日本の新しい時代の基幹産業と位置づけられているのであります。勿論、観光産業は新しい世紀の世界のリーディング産業でもあります。

 特に、人口三七億人、世界の六割を占める私たちの地域アジアは、今後、観光交流が急速に拡大するための中心的な役割が期待され、同時に、アジア諸国は大きな責任も担っているのであります。WTOの予測においても、二○○○年から二○一○年にかけて、東アジア・太平洋における国際観光客の到着数の伸び率は、年平均で実に七・七%と最も高い成長が予想されております。まさに、地球規模の大交流時代の幕開けにおいて、アジアは群を抜いて先頭に立っているのであります。
 しかし、順風満帆に見えたアジアの観光も近ごろは経済の不況、テロやSARSなどの厳しい試練に直面しております。特に今年に入り、テロのショックが冷めやらぬうちに、イラク戦争、SARSの発生などが加わり、海外渡航が制限されたため、旅行需要に深刻な打撃を与えているのであります。
 アジアの国々では世界的な感染拡大を阻止するための指導者の決断と各国の相互の協力により、ようやくSARSの流行が終息を迎えたことに大きな喜びを覚えるものであります。私自身、与党三党の幹事長として、SARS問題が燃え盛っている北京に、胡錦濤国家主席ら中国の首脳を訪ねました。中国政府のSARS撲滅への並々ならぬ決意の程を伺い、近い将来必ず終息するという確信を抱いたものであります。SARSの終息によって、これまで海外旅行を手控えていた世界中の旅行者の皆さんの旅行意欲が、再び地球的な規模で急速に高まってくることが予想されるのであります。

 今、観光をめぐる「新しい波の到来」を世界中が待望していると同時に、観光分野のリーダー達の具体的で果敢な行動を見守っているのであります。私たちは、今日の共通の試練を乗り越えるための具体的なアクションを起こすことを期待されています。
 具体的なアクション・プログラムとは、ここに集う指導者の皆さんが、先ず自ら先頭に立ってアジア域内の相互の観光交流に力を尽くすべきであります。日本はアジア地域における主要な観光客の送り出し国の一つであります。したがって、今後私たちの国に対する観光キャンペーンが行われる際には、官民挙げてこれに積極的に協力するつもりであります。先ほど、シプリー前ニュージーランド首相が述べられた「観光交流のための新しい提案」に、この際、全面的に賛成を致します。

 また、我が国では、小泉総理自ら「観光立国」を唱えられ、国民の先頭に立って世界の国々からわが国を訪れる旅行者を大幅に増加させるための、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を、本年より開始いたしたところであります。隣人であるアジアのより多くの方々に、わが国を訪れていただくための取り組みを抜本的に強化してまいります。また、近隣の国々と連携した共同の誘客キャンペーンの実施についても、すでに検討を始めました。特に域外からアジアへの旅行者を増加させるための施策は重要であります。また、国境を越えて旅をする人々の不安を解消するために、正しい旅行情報の提供に努め、安心安全の確保に各国がさらに連携を強化することは何よりも大切であります。

 今回の会議の重要性をあらためて認識し、私たち日本の代表団には、全ての観光産業に携わる政府及び民間の重要な立場の専門家が、観光産業の未来への大きな期待を胸に、勢揃い致しました。アジアの主な国々の有力な皆さまがご参加の下に開催されたこの集いが、実り多い会議となり、世界の観光産業の回復に明るいメッセージを発信できることを強く願うものであります。そしてお互いの努力により、再び大交流時代の訪れを世界に向かって宣言することができるよう、我が国の代表団は大いに貢献する決意であります。各国の政府と民間が共に力を併せて、効果的な観光促進策を継続して実施できることを心から期待するものであります。

 議長及び各国閣僚の皆さん!そして観光専門家の皆さん!もう一度アジアにおける「観光産業の再生と未来のために」共に力を尽くすことをここに誓い合おうではありませんか!
 「砂漠の掟として、後にくる旅人のためにオアシスを必ずきれいにするという約束」がありますが、今、私たち観光旅行産業に関わる責任ある立場の仲間たちが、次の時代を展望しながら、共に責任を果たそうではありませんか!

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