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対談
新町JATA・二階ANTA両会長新春対談
中部開港、愛知万博で観光需要拡大を
青少年の国際観光交流促進を
社団法人日本旅行業協会会長 新 町 光 示 氏
社団法人全国旅行業協会会長 二 階 俊 博 氏
週間ウイングトラベル 二〇〇五年一月十七日号

 観光立国を目指して、日本は二〇一〇年に訪日外客一〇〇〇万人の誘致を目指し、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を推進している。また、日本旅行業協会(JATA)は二〇〇七年に海外旅行者二〇〇〇万人を目標に、二〇〇五年はアクションプランを推進する。さらに、二〇〇四年に需要が低迷した国内旅行の需要喚起も実施しなくてはならない。そのために、旅行・観光産業界が一つになって行動する必要があり、旅行業界のトップであるJATAの新町光示会長、全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長の手腕が期待される。二階会長は自民党観光特別委員長であり、行政・民間一体となった旅行・観光業の発展のために大きな役割を果たしている。お二人にこれからの旅行・観光業を発展させるために、どのように取り組んでいくのか、新春に当たり大いに語っていただいた。(聞き手=石原義郎本紙編集長、印南有理記者)


新町氏
  三位一体旅行促進へ「有言実行」
二階氏
  中国観光開発と地方需要を喚起


 ―JATAは二〇〇七年に海外旅行者数二〇〇〇万人を目標に、アクションプランの策定を進めているが、まずは海外旅行促進への取り組みをお聞きしたい。

【新町】
 二〇〇三年までは事件、事故がいろいろと起きて対処療法に追われ、じっくりと戦略を練ることが出来なかった。しかし、そうした対処療法的な取組ではなく、将来にわたってツーリズムを発展させていくためには、海外旅行、国内旅行、インバウンドそれぞれに目標を掲げ、三位一体でバランスのとれた成長を目指していかなければならないと考えている。
 その上で、海外旅行は二〇〇〇万人、インバウンドは一〇〇〇万人の目標を達成しようという方向性を出した。問題は方向性は出したが、具現策をどうするかで、今年は三位一体の目標を具体的にどう達成するかの行動の年。言うならば「有言実行」でやっていきたい。
 このために、JATAは組織を作り、人を配置し、航空会社、各国政府観光局と話をして、具体的に詰めていく。今年はそれを実行する年にする。

【二階】
 JATAが掲げられた日本人海外旅行者二〇〇〇万人の目標は、政府目標の訪日外国人旅行者一〇〇〇万人と呼応する形で、まさに世界情勢が混沌とする中、観光が世界の人々の相互交流による「平和のパスポート」と言われる時代において、わが国と諸外国の国際交流の架け橋を築く目標として非常に意味がある。
 また、旅行業界全体が取り組んでいく一つの目標を、分かりやすい形で示すことにより、業界のムーブメントを位置づける指針としても大きな効果があると思う。
 新町会長が語ったように、米国同時多発テロ事件、イラク戦争、SARSなどによる海外旅行の低迷は、国際社会情勢に対する不安の高まりから、海外旅行に際し、安全面や衛生面といった旅行をする上で最も基本と言っても過言でない要素の重要性を旅行者が改めて認識したことの証左と言える。
 こういった旅行者の不安材料を、世の中に氾濫する情報を再編成した上での適時・適切な提供、旅行者ニーズにきめ細かく対応した確実な旅行手配等によって解消し、一人ひとりの旅行者に丁寧に対応し、安心して旅行を楽しんでいただけるように、我々旅行業関係者は基本に立ち返って、取り組んでいかなければならないと改めて認識している。
 これまで、順調に伸びてきた海外旅行者数を今後一層拡大し、日本人海外旅行者二〇〇〇万人を達成するためには、安全・安心の環境作りと多様化した旅行者ニーズに対応した質の高い旅行サービスの提供が極めて重要と考える。
 このため、ANTAでは日本人海外旅行者の主要な旅行先である中国の観光協会と協力を進め、中国への観光団の派遣を行うなど、新たな観光魅力の発掘と現地の正確な情報提供を可能とするため、積極的にデスティネーション開発を行っている。また、会員各社は地方需要の掘り起こしと活性化策として、地方空港からの国際チャーター便を利用しての海外旅行の実施に取り組んでいる。
 このような地道な取り組みの積み重ねこそが、日本人海外旅行者二〇〇〇万人達成の礎になると信じている。

【新町】
 海外旅行者二〇〇〇万人を達成する上で、今の二階会長のお言葉は力強い限りだ。二階会長をはじめANTAの協力を得て、「有言実行」でぜひとも二〇〇七年には海外旅行者二〇〇〇万人を達成したい。


二階氏
  中国全土に団体観光ビザ拡大を
新町氏
  日本独自の観光地づくりが必要

―次に、国策でもある二〇一〇年の訪日外客一〇〇〇万人達成に向けての課題だが、VJCを今後さらに効果的にするにはどうしたらいいか。

【二階】
 二〇〇四年の訪日外国人旅行者数は六〇〇万人の大台を超える見通しだ。今年は中部国際空港の開港、愛知万博というイベントを控え、また日韓国交正常化四〇周年を記念する「日韓共同訪問の年」であり、中国・韓国を対象にビザの規制緩和も進んでいる。これを機に、中国・韓国・台湾を最重点にキャンペーンを展開するとともに、効率的な事業への重点化に官民挙げて取り組み、七〇〇万人を達成したい。
 具体的には、愛知万博を組み込んだ旅行商品や中部国際空港を活用した旅行商品の造成に力を入れる。また、二月の「日韓交流大祝祭」や「Yokoso!Japan Weeks」をはじめ様々なイベントを企画していくが、愛知万博期間中の韓国人観光客のビザ免除を強くアピールして、中国を中心にアジアからのわが国への訪問を促進したい。
 先日、中国のケーブルテレビが、日本のホテルでも観ることが出来るようにしてもらいたいとの要請があった。もっともなことで、JATAと協力し、国交省と連携してホテル旅館業界にも協力を呼びかけている。

【新町】
 今の中国には中国人が国策に沿って世界に出て世界を見ようというエネルギーを感じる。かつて日本人が持っていた何でも見ようといったエネルギーが今の中国にはある。中国政府も世界に出て見聞を広めるために留学を奨励している。物見遊山で理解すべきではなく、国が伸びる時は、世界に出ていくというエネルギーがある。そういう意味で、中国がアウトバウンドを奨励することは非常に大事なことで、これを訪日旅行の増加にも繋げたい。

【二階】
 中国については、九月十五日からビザ発給地域に四省一市を加えたことで、トータルで三億七〇〇〇万人を対象に旅行・観光の団体旅行のビザが解禁になった。今度は中国の他の地域にこれを広げていく。この地域には一〇億人が暮らしている。この地域にどう対応するかは、中国に言われる前に、日本が積極的に対応していかなくてはならない。現在中国から来ている旅行者達に特別の問題がなければ、段階的に広げるのではなく、一挙に一〇億人(中国全土)にビザ発給対象地域を広げたい。

【新町】
 インバウンドと言っても様々なお客様がいる。したがって、そのアプローチは様々だ。ショッピング、自然、さらには産業ツーリズムという日本の先端技術を学びたいという人もいるだろう。いろいろな領域があり、それに応えるツーリズムを提供する必要がある。
 インバウンドは物見遊山ではなく、様々なものがあり、中部の産業ツーリズム、日本の祭りを見たいという人もいるだろう。我々は多種多様な商品を造成し、提供していくことが重要だ。
 例えば、JALグループが日本の酒文化に焦点を当てているが、日本人旅行者がワインの試飲でフランスへ行くように、日本には酒という素晴らしい文化がある。インバウンドだけではなく、酒をテーマにした旅行開発、イベントを実施する。
 ボージョレーヌーボーではないが、一番搾りの頃は全国津々浦々で日本酒フェスティバルを開催する。酒蔵に行って見学、試飲するなど多様な切り口で新しい旅を創造する。そういうことがこれからは必要になる。
 日本の観光の魅力をつくっていくことが、結果的にインバウンドの促進につながっていくのではないか。VJCも宣伝を中心に展開してきたが、今年は具体化する年になる。インフラの整備、海外の販売をどう強化するかなどのタクティクスをつくることが必要だ。

 ―国内旅行とインバウンドの促進において、中部国際空港の開港、愛知万博の開催による増加が期待できるが。

【二階】
 名古屋を中心とする中部の経済圏に、中部国際空港が二月十七日に開港する。そして三月二十五日は愛知万博が開幕する。これは大変画期的なことであり、まさに中部の時代がやって来たという思いがする。名古屋を中心とするこの地方は「産業観光」を提唱して今日まで取り組んできた。中部六県はバックグランドも大きく、新幹線もいい位置付けになっている。東京、大阪に次いで、素晴らしい観光基地が出来たと思っている。
 ただ、中部は万博開催後の「ポスト万博」にどう対応するかが課題となる。愛知万博期間中に旅行者が来訪した時に、親切に対応し、もう一度中部に、日本に来たいと思わせることが重要だ。それとともに、愛知万博の跡地の活用の仕方を愛知県に考えてほしいと期待している。
 観光の起爆剤として、空港が出来ること、万博を開催すること、それぞれ一つだけでも大変なことだが、この二つが一挙に集中するだけでも素晴らしいことだと思う。中日ドラゴンズが三年連続日本一になるほど注目を浴びる。中部が日本の観光の中軸となって、トヨタ自動車に代表される産業のメッカが観光のメッカとして、相提携していくことは素晴らしいことだと思う。
 浜名湖の花博でも五五〇万人の観光客が来ている。観光はやり方次第だと思う。努力しなければ、誰も来てくれない。世界中が観光、観光と外客誘致を展開しており、日本も努力しなくてはいけない。立ち止まってはならない。

【新町】
 中部国際空港の開港は、海外旅行の需要拡大の面でも大きな期待を寄せている。二〇〇〇万人達成のための、一つの大きな課題は地方マーケットの開拓。パスポート発券数や渡航者数などを人口対比でみると、地方は首都圏に比べてまだまだ低い。それは、地方の消費力が低いのではなく、海外が遠いことに起因しているのではないか。
 残念ながら、成田空港も関西空港もハブ空港ではなく、地方から海外に出かける場合、羽田空港などを経由しなければならない。そうした不便さが、海外旅行の一つのブレーキになっている。昨年末にはJATAでも、中部国際空港を視察したが、中部空港は海外旅行にとっても非常に心強い空港になると期待している。国際線はもちろん、国内線のネットワークがかなり充実した空港になる。その意味では、日本発のハブ空港が誕生するとも言える。
 我々としても、中部空港や地元関係者とも協力しながら、地方からの海外旅行マーケット活性化に向け、中部空港をどう活用するか検討していきたい。
 その意味では、愛知万博も同様に、国内旅行やインバウンドの拡大と同時に、将来的な海外旅行需要の活性化にも繋がるものと期待している。各国のパビリオンやイベントなどが展開され、一五〇〇〜二〇〇〇万人が来場するという一大ビッグ宣伝イベントが開催される。その効果は甚大であり、愛知万博を活用した需要活性化策をJATAとしても積極的に展開していきたい。

ANTA・JATA協力して新潟観光復興を
着地型商品開発で国内旅行を需要喚起

 ―国内旅行需要の活性化については、新潟県中越地震の観光復興支援がまず挙げられるが。

【二階】
 観光振興については、震災被害がなく、また、交通網の影響のない地域から早急に対応を実施していくことが必要となる。その具体策を検討するため、新潟県と相談し、地元において商工会議所、観光関係団体、行政当局等で構成する「新潟県観光復興会議」が設置され、昨年十二月一日に第一回会合が開催された。
 旅行業界としては、通常通りの営業が行われている宿泊施設・観光施設について、風評被害払拭のための新潟観光の正確な情報を提供し、新幹線の復旧などの適切な時期における企画旅行商品の造成と販売等の支援を実施する。
 また、ANTA、JATAともに新潟に応援団を派遣し、新潟県県央・中越地区を訪問し、県知事や観光関係者と意見交換を実施した。中国や韓国の航空会社にもチャーター機を飛ばしてもらって、新潟が元気になっている姿を国際的にもアピールしたいと思っている。
 地震で災害が発生したことにより、観光目的で新潟に行く予定だった三二万人がキャンセルしたことに対して、どのような支援をするか。旅行・観光業に携わっているからこそ、支援が出来る。旅行・観光業が支援して、新潟が段階的に元気づくことで、県をはじめ地元自治体も旅行・観光で新潟の復興を遂げようという気持ちになる。

【新町】
 応援団として新潟に行った時に、地元では、援助物資は感謝しているが、今は観光でお客様を送っていただけることが有り難いと言っていた。我々旅行業界はこういう時にはパワーがある。ANTAと協力して、国内旅行需要活性化のまず第一として新潟県の観光復興支援を旅行業界を挙げて取り組んでいきたい。

【二階】
 上越新幹線の再開とともに、関越高速道路料金を少し安くすれば、観光バス、乗用車も含めて新潟へ行く交通量は増え、新潟の旅行・観光が促進される。高速料金の割引きについても、難しいことだがぜひとも実現したい。(二〇〇五年三月より実施)阪神・淡路大震災の時に、元気になったと世界に発信できなければ、国として責任を果たしたことにならないと委員会で発言したが、今の新潟も同じで、この際は新潟復興のために観光産業が「オールニッポン」で立ちあがることが重要だ。

 ―国内旅行については、景気低迷もあって漸減傾向が続いているが。

【新町】
 災害が起きた時に改めて、観光産業の重要性が認識されることも多いが、国内旅行については従来より、本質的な問題を抱えていると感ずる。つまり、マーケットの実態と、国内ツーリズムのあり方がマッチしていないとの認識がある。
 例えば、国内景気の低迷による企業のリストラ対策の中で、団体旅行を対象とする宴会的な発想の温泉旅館的な旅行が激減している。これが主流だった時に、日本の各旅館が過剰な設備投資を行い、経営を厳しくした。また、、バブル期に建設されたテーマパークが、バブルの崩壊、国内景気の低迷で経営不振に陥っている。
 つまり、国内旅行も大きな変革期にあり、テーマ性、目的性のある旅行と、それを受け入れる魅力ある観光地づくりが必要になっている。従って、旅行産業界としても改めて、国内旅行のあり方を抜本的に検討すべき時に来ているのではないか。マーケットの実態と国内ツーリズムのあり方がマッチングするよう、ある程度長期的なスパンで将来像を描いていく必要性を感じている。その際、地方自治体等との協力関係をいかに築くかも大きな課題となる。
 その点、ANTAは地場から発信する旅行企画をしなくてはならないと提唱しており、これは非常に重要なことだと思う。旅行会社の視点の中には、これまで、現地にどのように人に来てもらうかという着地型の発想がなかった。これを徹底して推進することが必要だ。ANTAがそのような方針を打ち出して、具体的に進んでいるので、JATAとしても大いに協力していこうと思っている。
 国内旅行需要の活性化については、ANTAと緊密な話し合いをして、協力しながら進めていきたい。

【二階】
 国内旅行の現状を見ると、旅行の素材が定型化している一方で、消費者の嗜好はさらに多様化しており、また、ファミリー旅行や個人旅行が増加してきている。今後の国内旅行需要の活性化を考えた時に、そうしたファミリーや少人数での旅行への対応を進めることがキーポイントになるだろう。
 また、旅行会社には、単に運送機関や宿泊機関を断片的に手配するのみではなく、一人ひとりの旅行者の身になって、旅行という非日常的な体験全体が有意義なものとなるよう、旅をマネージメントする役割がある。現地の様々な旅行素材を発掘し、それを料理し、魅力ある旅行商品としてマーケットに提供することで、国内旅行の需要喚起につなげていくことが求められている。

【新町】
 また、国内旅行では、日本の文化をツーリズムに結びつけていくことも課題の一つだろう。カルチャーツーリズム、産業ツーリズム、グリーンツーリズムなどもある。観光資源を開発していくことが重要だ。観光素材はたくさんあるのに、それがツーリズムに結びついていない。観光素材は各地域にあり、掘り起こしていく必要がある。

二階氏
VJC理解深まる、観光庁設立に努力
新町氏
将来はツーリズムセンター設立を


 ―訪日旅行者を促進するためのVJCをさらに大きなムーブメントとするには、国・地方自治体の取り組みが不可欠となるが。

【二階】
 最近、旅行・観光関係の業界だけでなく、あらゆる部門の人達が、VJCの重要性を認識していただいている。しかし、私が運輸大臣だったころはそうではなかった。私は当時の河野外務大臣(現衆議院議長)に対して『観光を促進するためには各国に駐在している大使など日本を代表する人達が、もっと「日本に来てください」とアピールしてほしい』とお願いしたことがある。河野大臣はこれに応えてくれ各国の在外公館に対して訓令を発してくれた。外交官の中には観光誘致が主たる業務ではないと思っている人が多かったが、その意識も取組も変わりつつある。
 よく「人が訪ねて来ない家は駄目だ」というが、これは国に例えても同じで、自国にたくさんの外国の人が訪問することが誇りとなる。訪日外客が三二〜三位に低迷していることは日本の恥であり、旅行業者の問題ではない。国を挙げて取り組まなくてはいけない。小泉首相が観光に関心を寄せられて、ようやくVJCが盛んに行われていることに感謝している。
 それでは、VJCで日本に来た時に日本はどうするのか。まず、親切という意味では、日本人は根っからの親切な国民だ。日本人に親切にしてもらったと思う外国の人は多いが、自分を外国人に置き換えて、日本の空港に着いた時、日本のJRの駅に着いた時、港に着いた時、一体どうするのか。外国の人は電車に乗り、地下鉄に乗って、都内でも二〜三人で行動している。これを見て、この人達は勇気があり、活発で、日本のことを勉強して行動できると感心する。
 しかし、訪日外国人が増加するに当たり、国として、あるいはそれぞれの地域社会として、これから来訪する外国の人をもっと親切に迎え入れることができればいいと常々思っている。段階的にその方向に向かっており、旅行・観光関係者はもとより、公的な機関も目が向いてきた。
 今後、来日した外国人が、日本は良かった、歩きやすい、分かりやすい、便利だ、食べ物が旨い、安いものもある、というような感想を持ち、また来ようという気持ちにさせるという、一連の流れがスムーズになるようにしていきたい。
 障害を除去するという意味で、バリアフリーという言葉があるが、旅行・観光にしてもバリアフリーでなければいけない。新町会長のJATAと我々のANTAと協力して、そうした方向に向かって進みたい。

【新町】
 全く同感であり、これからも引き続き、ANTAと協力しながらインバウンド拡大に取り組んでいきたい。
 その際、インバウンドについても、国内旅行と同様に、基盤作りをしていく必要があるだろう。VJCによる宣言も大切だが、将来にわたって日本というデスティネーションが魅力的なものになって初めて、長期安定的なインバウンド拡大が期待できる。
 その意味では、国内旅行とインバウンドの振興は、最終的にはマッチングするのではないかと思う。日本人の国内旅行需要が低迷しているために、例えばアジアからの旅行者を呼ぼうといった発想では長続きしない。インバウンドも、国内旅行も、将来を見据えた施策の展開が必要だ。

 ―旅行・観光への取り組みで重要な課題は。

【新町】
 取り組むべき課題は多いが、ジュニアマーケットをどう活性化するかは大きな課題だと認識している。昨今、日本の子供達の教育水準が劣化していると言われるが、海外旅行の分野を見ると、海外でものを見よう、体験しようというかつてのエネルギーが弱まっている。旅行業界のみならず、自動車メーカーも家電メーカーも、団塊の世代のリタイアを前に、シニアマーケットの取込が盛んに言われているが、日本の将来を考えた時に、それだけで良いのかと疑問を感じる。
 とくに、旅行には、教育的な側面がある。若い人達に海外旅行に出かけてもらい、知見を広め、人々と交流し、感動を知ることは、非常に重要なこと。とくに少子化が進む中で、旅行離れにある若い人、いわゆるジュニアマーケットを旅行に誘引させなくてはならない。それには、国と国が相互に若い人に旅行してもらうことが重要になる。

【二階】
 自民党観光特別委員会の中に、荒井正吾参議院議員(元運輸省観光部長)を委員長とする国際修学旅行の促進に関する小委員会を設置している。地域同士の姉妹都市が協力し合って、国際修学旅行の交流に結びつけていく。これが促進されれば、若い世代の交流が進み、思わざる所の国の人達が日本の地方にやってくることにもなる。そうなると、二〇〇二年日韓W杯サッカー大会での中津江村が日本国中に出現する。国際化のために、私は日本国中を中津江村にしたいと考えている。旅行・観光業で利益を出すということはもちろん重要だが、もっと広い大切なものが旅行・観光にはある。大きく言えば、相互理解の促進であり、平和につながるということだ。旅行・観光で日本に行って楽しかった、素晴らしい人に出会ったということが、国際観光交流であり、平和への道だと信じている。
 自治体の国際姉妹都市交流の促進については、小泉総理も力を入れてくれている。力強い限りだ。姉妹都市交流も活発にしたい。

【新町】
 二階会長が今話された国際修学旅行の促進は、その意味でジュニアマーケットが旅行に向かう最大の契機になるのではないか。最も多感な時に海外旅行に行くことは、最大の思い出となり、また行こうという気持ちになる。彼らがリピーターとなり、旅行・観光の中心となるわけで、ジュニアマーケットへの取り組みが旅行・観光にとって最も重要と言っても過言ではない。

【二階】
 日本の子供だけでなく世界、とくにアジアの青少年はやがて大人になり、またリピーターで来るのだから、最初の修学旅行は出来るだけ安くして来てもらう。
 中国から日本に旅行に来た調査団にたまたま会った時、学生、大人が毎日ミーティングして、中国で思っていたことと、実際に日本に来てからでは日本人の印象は正反対だったと語っていた。日本の人は素晴らしく親切だと言ってくれた。だからこそ、修学旅行に力を入れたい。やがてこれが大きな実になる。今は安く修学旅行を仕上げるが、やがて大人になり、日本に旅行へ来る時は、質の高い旅行を選ぶことになる。

 ―JATA、ANTAの連携はますます強まって行くように思えるが。

【二階】
 将来的には、JATAとANTA、さらには旅行・観光団体が入居するビルを建てたいと新町会長と話している。こうしたことをお互いに発言できる環境になってきた。

【新町】
 このビルには各国の政府観光局も入り、一階にサービスセンターを設置する。外国からの旅行者が来たら世話をするという「ツーリズムセンター」をつくりたい。将来の夢だが、旅行・観光が二十一世紀の基幹産業となるためには、そうした気概を持って取り組んでいきたい。

 ―業界の取組とともに、行政サイドの体制を強化すべきとの声も大きい。観光庁を創設するという構想もあるようだが。

【二階】
 観光立国の推進に向けて、観光関係予算も着実に増加しており、二〇〇二年度の三三億円から二〇〇三年度は五一億円、二〇〇四年度は六〇億円と増えている。VJCの高度化や観光ルネサンス事業の実施で二〇〇五年度もほぼ満額に近い予算が計上された。
 こうした観光関係施策を推進する組織を強化するため、国土交通省に観光庁を設置することが必要であり、これは迅速に取り組まねばならない課題と認識している。幸い北側国交大臣も積極的で、関係者が「観光庁」の必要性について認識を共有し、その実現に向けて協力していけるように、私としても努力していきたい。

【新町】
 産業が発達するためには、官民一体の関係が重要で、行政サイドのサポートがなく業界だけでの発展には限界がある。「観光庁」のアイデアが出てきて、こうした体制ができれば素晴らしいことだと思う。

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