自民党


にかい


心のバリアフリーを


□第2部 私の考えるバリアフリー バリアフリー社会を実現するために
心のバリアフリーを風に乗せて/八代英太(前郵政大臣)
バリアフリー法と心のバリアフリー/羽生次郎(運輸審議官・前運輸政策局長)
交通バリアフリー法の成立に寄せて/大石久和(建設省道路局長)
警察による道路交通のバリアフリー/坂東自朗(警察庁交通局長)
まちのバリアフリー化/香山充弘(自治省官房長)
バリアフリー法と観光町づくり/藤野 公孝(運輸省総務審議官・全観光部長)
高齢者も(身障者も)弱者にあらず/みの もんた
寝たきりの祖母/栗生 守(第1回健友館ノンフィクション大賞受賞「枯れ逝く人」著者)
人にやさしい街づくり/神田 真秋(愛知県知事)
交通施設バリアフリー実現に向けて/桂 功(和歌山県すさみ町長)
二十一世紀の明るい福祉を創る/松尾 榮(社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長・社団法人佐賀県身体障害者団体連合会会長)
画期的な交通バリアフリー法の成立/見坊 和雄(全国老人クラブ連合会副会長)
安全で平和なバリア・フリー環境/菊竹 清訓(日本建築士会連合会会長)
温かな「心」を添えて/梅田 恵以子(随筆家) 

■寄せられた感想の一部



□第2部 私の考えるバリアフリー バリアフリー社会を実現するために
心のバリアフリーを風に乗せて
八代 英太


(前郵政大臣)




私自身、車椅子生活になって早いもので二十七年の年月を数える。政治活動に入って、二十三年となり、その間多くの先輩たちのご指導、ご支援を頂きながら車椅子から日本を見、世界を眺めながら真の福祉社会の構築を目指して微力を尽くしてきた。


 昨年(平成十一年)十月五日、故小渕内閣の第二次改造内閣で郵政大臣を拝命し、情報通信、郵政事業に於けるバリアフリーについて取り組みもさせて頂いたが、なんと言っても二階運輸大臣の就任によって懸案だった「交通バリアフリー法」の成立は、障害者はもとより高齢化時代を迎える日本の「人の移動」に於ける大変革を迎え、「ノーマライゼーションの社会」の実現への大きなインパクトを内外に与えた。


 「長い間、努力はしたけれど・・・・・」と言うことが政治の中にはままあるが、二階大臣の出現は「やる気があれば不可能はない!」と私を含めて多くの人達に政治の喚起をもたらしたと言える。あらためて、二階大臣のそのリーダーシップに心から敬意を表したい。


 さて、法律は決して万能ではない。この「交通バリアフリー法」が生まれて、これからは育てる責任は、私たちにある。そして限られた予算である以上、時間もかかるだろう。それを下支えするのが「心」であり、人の「心の財産」によって足らざるバリアを改善していかなくてはならないと思う。この書はまさにその「道しるべ」であり、私たちの悲願であったこの法案に対する二階大臣の汗と心意気にお応えするためにも、私たちの「育てる汗」が今後の課題とも言えるだろう。国を問わず、地方も交通事業者も財源には限りがあるが、一人一人の心の財源は無限である。声をかけ合い、手を貸しあい、未開のバリアをなくしていくことをみんなで努力しなければならない。


 二十一世紀は「バリアフリ−時代」とも言われる。歩ける人、歩けない人、日の見える人、見えない人、言葉の話せる人、話せない人等、二十一世紀こそは「万人」のための日本となるように「心のバリアフリーを」風にのせて全国を覆いたい。






バリアフリー法と心のバリアフリー
羽生 次郎


(運輸審議官・前運輸政策局長)




 私は、交通のバリアフリー化については、概ね二十年位前から関係してきた。特に、今度の「交通バリアフリー法」については、担当局長として政府原案作成から国会審議に至るまで取り組んだので、各々の局面で興味深いことが多々あった。


その中で、最も印象に残ったことは、国会審議中に、二階運輸大臣が、この法律の運用について示された三つの考え方である。二階大臣は、政府原案作成時には、「関係省庁が前向きに取り組む仕組みにしなければならない」と指示をされ、この法律の最も重要な骨格を作られたが、国会審議時において示された考え方は、それ以上に注目すべきものであると思う。それらは、次の三つである。


 第一に、交通のバリアフリー化は、大都市だけの問題ではなく、高齢者の多い地方においても同様に重要な問題であり、国の責務として大都市、地方ともに進めていく必要があることを明らかにされたことである。第二は、バリアフリー化の経済的効果を経済企画庁との共同作業を通じて明らかにされ、交通バリアフリー化を単なる福祉としてでなく、今後の経済政策の中で位置付けられたことである。そして、第三には、多分三つの中で最も重要な点であろうが、「心のバリアフリー化」を提唱されたことである。


 国会会期中に、二階大臣は、我々に対して、しばしば、「施設の整備だけで、できることには限界がある。やはり、周囲の健常者が、車椅子を押したり、日の不自由なお年寄りを進んで手助けする様にならなければ、真のバリアフリー化は実現しない。だから、この法律を契機に、日本の社会がそういう風に変わることが施設の整備よりも重要なのだ。そういう心のバリアフリー化が実現すれば『いじめ』や『非行』を起こさなくなる」と言われた。さらに、今後の考え方として、「学校の行き帰りに緑のオバさんがいる様に、駅にも老人や障害者の方を手助けするボランティアの活動が必要だ。行政は、そういう活動を援助、評価しなければいけない」と述べられた。


 まさに、大臣の提唱された「心のバリアフリー化」が、軌道に乗るか否かに、欧米に遅れること十年のこの分野で、日本が追いつけるかどうかが掛かっていると思う。






交通バリアフリー法の成立に寄せて
大石 久和


(建設省道路局長)




二十一世紀を間近に控え、我が国においては史上類を見ない少子高齢社会を迎えつつあります。このような成熟社会では高齢者、身体障害者等はもちろんのこと、誰もが安心して、積極的に活動し社会参加できる生活環境の形成が喫緊の課題であります。


 建設省道路局はこれまで、道路整備五箇年計画に基づき、幅の広い歩道の整備や既設歩道の段差・傾斜等の改善、電線類の地中化など歩行空間のバリアフリー化に努めてきたところですが、昨年より、運輸大臣をされていた二階先生の強力なご指導のもと、省庁をまたがる横断的なバリアフリーの政策議論がなされ、平成十二年五月には、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(通称:交通バリアフリー法)」が成立しました。


 この法律は運輸省、建設省、警察庁、自治省をはじめとした関係省庁が連携して一体的・重点的に高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化を進めるための仕組みや各種基準を定めたものであり、その社会的意義は言うまでもなく、省庁統合を間近に控えた政府の省庁横断的な取り組みとしても非常に意義深いものと考えております。


 今回の法律の制定を受け、道路行政としても、従来からの取り組みに加え、公共交通機関のバリアフリー化等と連携した歩行空間のバリアフリー化について、一層積極的に推進していくこととしています。その際、バリアフリー歩行空間をネットワークとして整備し、駅から施設までの安心・快適空間の連続性や面的広がりを確保するとともに、地域の方々や関係機関と緊密に連携しつつ道路の適正な利用の促進に努めることにより、その整備効果を高めていくことが重要と考えています。


 国土交通省の発足を翌年に控え、国民の視点に立ったよりよい行政サービスが求められているなか、人々が安心して生き生きと暮らせるバリアフリー社会の形成に向けて、関係部局との密接な連携のもと、より一層積極的に取り組んで参りたいと考えております。






警察による道路交通のバリアフリー
坂東 自朗


(警察庁交通局長)




本年五月に成立した「交通バリアフリー法」により、都道府県警察は、市町村、公共交通事業者、道路管理者と相互に連携して、高齢者、身体障害者の方々の安全性や利便性の向上のため、一体的かつ重点的にバリアフリー対策を推進することとなりました。


 国会の審議等の場を通じ、高齢者、身体障害者の方々を始めとする国民の方々からの本法へ寄せる期待には、大変大きいものがあると感じました。それだけに警察の責任も重大であると考えております。


 高齢者、身体障害者の方々の社会参加を推進し、バリアフリー社会を実現するためには、これらの方々の歩行の安全を確保することが何よりも必要であることは論を待たないところでありますが、道路を歩行していて最も危険を感じるのは車道を横断しているときであります。


 このため、警察におきましては、音響信号機や高齢者等感応信号機等の道路横断時の安全を確保するための信号機の整備を積極的に推進するとともに、これらの信号機がより利用しやすいものとなるよう調査研究を実施することとしております。


 また、警察が進めているITS(高度道路交通システム)の中の一つとして、携帯端末により信号機の位置や灯火の色などの情報を音声で知らせることなどを可能とするPICS(歩行者等支援情報通信システム)の早期実用化に向け、現在、研究開発を進めているところであります。


 さらに、視覚障害者誘導用ブロック上の放置自転車や横断歩道上の違法駐車車両などバリアフリー対策の効用を損なうような迷惑性の高い違法駐車行為に対しても、その防止と取締りのための活動に積極的に取り組むこととしております。


 今後とも、バリアフリー社会の実現のため、高齢者、身体障害者等の御意見御要望に真剣に耳を傾けつつ、関係機関等と手を携えて、効果的な交通安全対策を推進するとともに、街頭の警察官が、「心のバリアフリー」をいつも念頭におきながら交通安全活動等に当たるよう配慮していきたいと考えております。






まちのバリアフリー化
香山 充弘


(自治省官房長)




巣鴨地蔵通りは別名「おばあちゃんの原宿」。毎日多くのお年寄りが訪れるので有名だ。もとよりとげぬき地蔵の吸引力あってのことだが、まちづくりにかける地元の努力も少なからず貢献している。お年寄りにとって、他のどこよりも快適で楽しいまちづくりがなされているのだ。


 高齢者や身障者にやさしいまちづくり―――まちのバリアフリー化―――は、全国の地方団体に流行し、今や時代をリードするキャッチフレーズになりつつある。自治省では、「地域福祉推進特別対策事業」や「共生のまち推進事業」によって公共施設改造等を支援しているが、取り組みは年々積極的となり、事業費も大きな伸びをみせている。


 しかし、残念ながら、バリアフリー化は「まだまだ」というのが実感である。


 ハード面で言えば、高齢者等のニーズが十分に把握できていないこと。市庁舎や公民館など目玉施設にはスロープや手すりが作られているが、お年寄りになったつもりで現実に街を歩いてみると、至るところにバリアが残っている。バリアフリー化が行政サイドのひとりよがりに終っているというケースが少なくないのだ。成功している巣鴨の場合、集まってくるお年寄りから実に様々な要望が寄せられ、地元がそれに一つ一つ丁寧に対応している。それがお年寄りに喜ばれ、さらに多くのお年寄りを集めている。


 いまひとつは、「人々の気持ち」の問題。盲人用ブロックを整備していても、放置自転車がそれをおおっていたのでは何の役にも立たない。段差の前で立ち止まる人が居たら、近くの誰かが手を引いてあげればよい―――モノの整備は必要ない場合だってあるのだ。


 バリアフリー化の成否はつまるところ、まちに住む人々全体の「やさしさ」にかかっている。条例を制定するとか施設改造のデザインづくりや施設、管理のシステムづくりに住民参加を求めるとか、さらにはアメリカのコミュニティガーデン的な運動をおこすとか―――アイディアは色々あると思う―――まち全体にやさしい人間関係が醸し出されるようなしかけづくりが大切だと思う。






バリアフリー法と観光町づくり
藤野 公孝


(運輸省総務審議官・全観光部長)




 鉄道の駅や空港にエスカレーターやエレベーターの設置を促進し、高齢者や身体障害者等の交通弱者の方々がより容易に公共交通機関を利用できるようにしようとする所謂「交通バリアフリー法」の成立は、観光町づくりのあり方にも大きな波紋を投げかけている。


旅館やホテルの構造を見るとバブル期に豪華な新館建設ラッシュが続き、廊下や階段で新館と旧館をつなぐタコ足配線のような構造のものが増えた。又狭い敷地の急勾配の土地にも建設が進められ、足腰の弱った人々や車椅子の人には極めて利用しづらい。露天風呂ブームで浴場の増改築が進められたが、階段が多く滑り易くなっている。バブル期の団体慰安旅行が陰をひそめ、家族旅行や熟年者の小グループ旅行が急増する中で、階段や廊下、お風呂に手すりをつけたり、段差をなくすスロープの設置、更には車椅子用のエレベーターを設置する等本格的にバリアフリーに取り組むホテル・旅館が増えてきたことは喜ばしい。


 観光地全体の取り組みにも例えば高山市のように市長が先頭に立って車椅子利用マップを作り、ボランティア組織を整備する等積極的な対応を図っている町が増えてきている。


 心の安らぎを求めて出かける旅。駅員さんやボランティアの人々、通りすがりの町の人々のやさしい思いやりと手助け。旅館やホテルでの従業員の心からのもてなしの心。来て良かった、もう一度訪れたい町とはこんな町ではないでしょうか。二階大臣がいつも言っておられた「心のバリアフリー」こそ失われかけた日本人の心を取り戻す絶好のチャンスではないでしょうか。そしてそれは弱者のためではなく、実は自分自身の安らぎと幸福のために!!






高齢者も(身障者も)弱者にあらず
みの もんた




 わたしが考える二十一世紀の「高齢者社会」においては−


 六十代は、パリパリの現役である


 七十代は、後輩の指導にあたるときてある


 八十代は、自分の人生の総仕上げをするときである


 九十代は、余生をたのしむときである


 そして、各年代に合った社会環境がそれぞれ整えられるべきである。たとえば、六十代がパリパリの現役であるためには、それ相応の仕事の場や雇用環境が必要だ。七十代の人が積極的に後進の指導に当ろうとしたら、地域でも会社でも、先輩の知恵を生かす「塾」や「学校」のようなものが必要だろう。


 八十代で自分の人生の総仕上げのために、「自分史」や「家族史」をまとめたいと思う人もいるだろう。そういう人向けに、パソコン学級をもっとふやすことも必要だ。そして九十代になって、まだ自分の知らない外国旅行に出かけたいと思う人もいるだろう。アメリカ人などには、そういう人がいっぱいいる。そういう人のために、飛行機搭乗施設にもっと工夫があっていいし、大きな荷物の持ち運びにボランティアがいてほしい。わたしの知合いにリウマチで悩む人が最近多いが、荷物の持ち運びが苦痛で、だんだん旅行に出なくなる。そのぶん、心も次第にふさいでくる。


 「心のバリアフリー」というのは、そういう人々の心の″ふさぎの虫″を取り除くよう、社会のさまざまな環境を整えることである。それはハードの面でも必要だし、人々の心、つまりソフトの面でも必要なことだ。


 これまで「高齢者」は「六十歳以上」だったが、今はもう「六十五歳以上」になった。かつては「四十代前半」が「熟女」だったが、今は七十代の熟女が当り前。わたしたちは、そういう時代に生きているのです。






寝たきりの祖母
栗生 守


(第1回健友館ノンフィクション大賞受賞「枯れ逝く人」著者)




 寝た切りになった祖母に娯楽を、との思いから、彼女を車で近くの神社仏閣や地蔵尊へ連れて行ったことがある。久々の外出が嬉しいのか、生き生きとした表情で、神仏に両手を合わせていたことを思い出す。その後も私の時間が許す限り彼女を車で連れ出したのだが、そうした何でもない娯楽でさえ、寝た切り老人や身体障害者を抱える家では、予想以上に大変だという。


 私の場合、祖母の介護を始めたのが二十九歳という若い時で、カにも自信があったので、老いてやせ細った彼女を抱き上げるぐらい訳はなく、それほど負担に感じなかった。ところが老人や身体障害者を介護している人は中高年から高齢者が多く、それも女性が大半を占めているのが実情である。それぞれの家庭介護は大変で、悪くすれば家庭が崩壊する事すらあるという。バリアフリー法の制定はそういう意味では歓迎だが、それで終わりではなく、そこからが始まりなのだということを知ってもらいたい。


 自立できなかった弱者が、様々な制度の制定や機械化の進展で、どうにか健常者並みに一人で外出できるようになったと仮定しょう。しかしそれで自立できなかった人が、自立できるようになったとは言えないのである。外出した彼らには、常に多くの視線がつきまとい、疎んじられることもあるだろう。


 本当のバリアフリーとは、二階俊博前運輸大臣がよく話しているように、心のバリアフリーであることは誰も否定できない。


 町行く人々が気軽に、それも自然に弱者に手を貸し、弱者も快くそれを受け入れられる状態。そうした町づくり、人々の意識改革を目標に、ようやく第一歩を踏み出したのが今の日本なのであり、実現までには気の遠くなるような時間と、多くの人々の努力が必要だろう。しかしそうした町づくりができて初めて、日本が本当の先進国、福祉大国になったと言えるのではなかろうか。






人にやさしい街づくり
神田 真秋


(愛知県知事)




 愛知県では、「人にやさしい街づくり」条例を定め、高齢者や障害者などを含む全ての人々が、円滑に移動でき、円滑に施設が利用できる街づくりに積極的に取り組んできておりますが、この度の交通バリアフリー法の成立により、私どもの取り組みに一層の拍車がかかるものと期待しています。


 安全で円滑に移動できる駅舎や、そこに至る道路等のバリアフリー化は、ノーマライゼーションが進む中で、高齢者や障害者の心の垣根を取り除く大きな要素のひとつであります。


 また、こうしたハード面だけではなく、一人でも多くの県民に、日々のくらしの中でこの「人にやさしい街づくり」に参加していただきたいと考えております。このため、「人にやさしい街づくり連続講座」を開き、地域に密着した街づくりリーダーの育成に取り組んでいます。この連続講座は、過一回三ケ月にもわたるものでしたので、受講者が集まるか心配していましたが、蓋を開けたら希望者が殺到し担当者は嬉しい悲鳴を上げております。これまでに三五〇人を超える方々が街づくりアドバイザーとして登録され、それぞれの地域でご活躍いただいています。昨年四月には、このアドバイザーの方々が中心となってNPO法人「まちづくり会議」が発足しています。今後も、こうした団体との連携を図りながら、多くの県民の方々にご協力をいただき、「人にやさしい術づくり」を積極的に進めてまいりたいと考えております。






交通施設バリアフリー実現に向けて
桂 功


(和歌山県すさみ町長)




和歌山県の南、紀南地域に位置するすさみ町は、人口5977人の過疎化と高齢者率34.2%県下で8番目と高齢化が進んだ町であります。


 過疎からの脱却を目標に、若者定住や雇用の拡大等、地域経済の活性化、福祉の充実、教育の振興を三基本柱として行政施策・運営に取り組んでおります。


 古くからの農林漁業に加え、近年では地域の特性を活用したまちづくりをめざしており、毎年五月に開催する「イノブタダービー」は二万人以上を集める紀南地方の名物イベントとして定着し、今年で二〇回を数えました。


 また、海洋資源を生かした、釣り、スキューバーダイビング、各種マリンスポーツに加、では「海中ポスト」、「エビとカニの水族館」がマスコミで取り上げられ、子供さんからお年寄りまで多くの方々にご来町頂き、楽しんで頂いているところであります。


 これらのお客様をお迎えし、都市部と紀南地域を結ぶ唯一の交通機関が和歌山県を南北に貫通するJR紀勢本線であり、周参見駅は昭和十一年の開通以来、町の玄関口として、また、町民の通勤通学や生活圏である田辺市への利用等、その賑わいをみせて参りました。


 この周参見駅も老朽化が著しく、本年度(平成十二年度)には「町民コミュニティープラザ」として生まれかわります。勿論、バリアフリー化を考慮した施設で、更に地域間交流が促進されると期待しております。








 このように順次整備を進める中、残された昭和五十年整備の跨線橋については、雨天の時、また、お年寄りや身体のご不自由な方には階段の昇降等に大変利用しづらく、日増しに改良の声が高まっており、是非とも解消しなければと考えております。


 都市駅等と違ってその利用者は、「交通施設バリアフリー化法案」の五千人/日以上の規定には遠く及びませんが、エレベーターや屋根の整備等『利用者にやさしい施設整備』は、当町がめぎす福祉の充実の最重点施策と位置付け、関係機関からご指導を頂き一日も早く実現できるよう努力したいと決意しております。






二十一世紀の明るい福祉を創る
松尾 榮


(社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長・


社団法人佐賀県身体障害者団体連合会会長)




 交通バリアフリー法の成立は、二十一世紀の明るい福祉の展望が大きく拓けたと心より喜んでおります。


 二階俊博前運輸大臣が、積極的に果敢に取り組んで頂いた賜であります。また、私ども障害者の代表である八代英太前郵政大臣と共に、青木内閣官房長官を座長にしてバリアフリー閣僚懇談会等も開いて頂き、運輸省、建設省、警察庁および自治省の各省庁間のバリアのない共同提案であり、従来にない異例のものであります。二十一世紀の政治の在り方を示唆するものと大いに期待いたしております。


 平成十二年六月七日東京体育館で、身体障害者福祉法施行五十周年記念大会を開催した時に、天皇・皇后両陛下のご臨席を賜り、「我が国は、現在、社会の急速な高齢化という大きな問題に直面しておりますが、このことは、障害者の福祉に対しても、様々な面で大きな影響を及ぼすものと考えられます。その中にあって、国際障害者年のテーマ『完全参加と平等』の理念の下に、障害を持つ人々が安心して社会に参加できる環境を更に改善していくためには、すべての関係者が力を合わせて一層の努力を重ねていくことが必要であると思われます」と、有り難いお言葉を頂き感動いたしました。


 四月四日に衆議院運輸委員会、四月二十五日に参議院交通・情報通信委員会に参考人として出席させて頂き、交通バリアフリー法の成立は、@障害者の社会参加の動機づけにいたしたい、A計画段階から障害者の参画をさせて頂きたい、B障害者も社会的責任を果たしたい、と、早期成立を訴えました。


 日本身体障害者団体連合合のこれからの課題として、


一、障害者自らの心のバリアフリー化を図り、社会の一員としての自覚と責任を持ち、一般社会の御理解、御協力を得るようにしたい。


二、各市町村が計画作成するので、日身連傘下の各支部が積極的に参画し、提言できるように育成強化を図っていきたい。


三、常に感謝する気持ちを忘れず、交通バリアフリー化の実現に全国の障害者挙げて努力をしていきたい。


―――等々を考えております。


 国民の皆様の、なお一層の御理解、御支援をお願いいたします。






画期的な交通バリアフリー法の成立
見坊 和雄


(全国老人クラブ連合会副会長)




 少子高齢化の中で、私たち高齢者は「社会の支え手」になるべく「自立と社会参加」に励んでいます。


 誰もが加齢とともに心身機能が低下し、あるいは病気・障害を伴って、心ならずも家に閉じこもり、人との接触を失いがちですが、それを克服して外出の頻度を高め、行動半径を広げて自立と参加に努めているのです。


 安全と利便に配慮した「移動の自由」は、このような高齢者の期待に沿うもので、高齢社会にとって重要な意義をもつものです。


 いま、私たちはかつて想像もつかなかったほどの豊かな社会を迎え、驚くばかりの科学技術の進歩と公共交通機関の発達によって、誰もが景勝・文化の地を訪ね、遠く海外に旅する夢を果たせる時代を迎えております。


 しかし都市化が進む中で、建物・ターミナル・通路の高層化・立体化・大型化と、機械化・無人化によって、高齢者の移動と安全を妨げる新たな壁(バリア)が生じて、その解決策が切実な課題となってきました。


 このような中で、先の国会で成立した、高齢者・障害者等の移動の円滑化を図る「交通バリアフリー法」は、まさに画期的な朗報となりました。


 この法律が、縦割り行政の垣根を払って、運輸省・建設省・自治省・警察庁の四省庁共管のもとに提出されたことも、その評価を一層高めております。


 この法律提出に至る過程には、多くの苦心があったことと存じますが、その中心となって、立案・調整・推進の任にあたり、全会一致の成立を果たされた、運輸大臣二階俊博先生の熱意とご努力に、深甚なる敬意と謝意を表します。






安全で平和なバリア・フリー環境
菊竹 清訓


(日本建築士会連合会会長)




 都市は、若者や健康な人たちだけのものではない。子供や老人もいるし、身障者もいれば、病人も住んでいる。高齢化社会に向かって、こういうみんなの平和で安全な環境をめざすのが、バリア・フリーの精神であり、目標であろう。


 それにはまず身近な住宅の内部の領域があり、住宅のまわりの周辺環境があって、これらをバリア・フリーに変えていくことが、今切実に求められていることであり、国際的常識である。


一見些細な床の凹凸や段差をなくし、車椅子に対してだけでなく、ごく普通の歩行に対して障害にならないようにすべきである。


 さらに転んでもケガをしないように、床材を柔らかいクッション性のあるものにして、手足や腕を折ったり、簡単に骨折するおそれがないようにするのは当然のことである。


 また壁には、できるだけ手摺をつけてこれに沿って歩けるようにし、便所や浴室などにも、できるだけ手摺をとって、倒れたりしないような工夫をすべきである。


 キッチンは、特別の食事の準備などで、調理台に、高さの可変性を計ったり、器具類の収納をわかりやすく見えるように、傾斜させたカガミを取り付けたり、照明を明るくして、危険を避けるなどの配慮もあり、リモート・コントロール・スイッチの工夫もある。ドアはスライディングの方が場所をとらず、衝突の危険も少ない。など、改善すべき問題も多い。


一方、住宅のまわりの環境では、出入口の段差や勾配ですべったり、つまづいたりしないようにし、特に歩道と車道の段差は、これをなくす方向が、新しい排水溝で、世界の都市で実現している。


 また、塀や棚をやめ、高さを低くして視界をひろげ、生垣で緑化するなどは、防犯上にもすぐれた解決である。自動点滅の防犯灯を加えるなど、僅かな気配りでずっと住みやすくなる。


 住宅の内部改装や、独立・集合住宅の別なく、バリア・フリーへの指向は、ごく人間的な配慮であって、二階前運輸大臣のような指導的な政治家が、住宅環境の改善を一層推進されようとしている姿勢は、わが国の居住環境にとって、福音である。






温かな「心」を添えて
梅田 恵以子


(随筆家)




花鳥風月、その風雅の中に歴史を書く。


 私はこんな生活を四十年続けてきた。地方の取材も多く、町や村を訪ね歩き、山や川辺を歩き、海に遊び、誰よりも健脚で、紀州という一地方を書き続けた。


 ところが十年ばかり前から膝を痛めて、一時は歩行困難にまでなった。「女性には多いですよ」といわれながら、いつの間にか高齢者の仲間入りをしている。


 なさけないことだが、道路の突起につまづく。駅の移動は陸橋の昇降が辛い。和歌山県では駅のエスカレーターの設置が少なすぎる。それも上りだ。膝を痛めてから気が付いたのだが下りがこわい。足も痛いが、目もとが不安なのだ。照明、階段の素材にも問題があるのだろうか、老人が転ぶのは下り階段が多いと開く。口惜しいが年とともに動きがにぶくなる。迷惑はかけたくないが旅をしたい。取材のおりおりにふれた自然。この魅力は断ちがたい。


 そんな私が和歌山観光百人委員会で二階俊博代議士の「心のバリアフリー」の話を聞いて感動した。移動するために物理的な障害を除去するという。これを一生懸命考え続けた人たちがいて、二階さんが運輸大臣の時に「交通バリアフリー法案」が成立した。


 二階さんは「観光はここから考えよう」と話しておられた。五十人の車椅子の人たちが東京駅に集まり旅をしたのだという。その行先は修禅寺だった。なぜ−。ここは駅にも旅館にも高齢者や障害者の配慮がなされているという。


 更に心を添えること。手をさしのべる優しさ。言葉をかけることもいいだろうと、子どもの教育問題にまで話はひろがった。


 車椅子生活二十七年という入代英太前郵政大臣は「法律は決して万能ではない」「育てる責任は私たちにある」と人の心で支えようと呼びかけておられる。細やかな心づかいで、日本は精神的に豊な国になるだろう。


 少し先の明るさが見えてきた。







■寄せられた感想の一部




二階代議士の著書「心のバリアフリー」の出版を楽しみにしています。私の今は亡き母も9年間車椅子の生活でした。


 道路の段差や駅の階段など、随分、不便な思いを致しました。


 「交通バリアフリー法」が国会で可決されましたのをテレビで拝見し、過去に障害者を家族に持っていたものとして”遅きにあらず”と胸が熱くなりました。


 さすが実行力と行動力の二階先生でございます。


 星野富弘様の作品に、「二度と来ない今日というこの日、この1日を百日のように生きたい」という詩がございますが、これからは身体障害者や高齢者の方も「交通バリアフリー法」の成立により行動範囲が広がり健常者と楽しく生活できますよう念じています。有難うございました。


和歌山県御坊市 山本那智子







バリアフリーのご実績ファックスを読んで


『天に星 地に花 人に愛』 小生の好きな言葉の一つとして及ばずながら努力しています。 私達、二階前運輸大臣の経済閣僚誕生によって、バリアフリー法が可及的速やかに国会をとおり昨今には、首都圏でも道路や公共施設等において急速に進んでいます。 障害を持つ人々も、そうでない健常者もステーション等の安全化へ期待するところ大です。 そして、福祉で高名な北欧四国はもとより、自由の国アメリカへ追い付き追い越そうの文字通り、グローバル戦略には、この上もなく有難く感謝をいたしたいです。 それは、男性ヘレン・ケラーの感概に浸り,更なる情報開示で国民の浸透で心のバリアフリーに直結すべきことと考えます。 八代英太前郵政相の熱情迸る賛辞こそ、展望六感に訴えるからです。


平成十二年七月二十九日


(ザルツブルク モーツアルチウム財団 寄付者 サークル会員) 村田 治