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小泉新総理の所信表明演説に対する本会議代表質問

平成十三年五月十日

保 守 党  幹事長代理  二階 俊博

 私は、保守党を代表して、小泉内閣総理大臣の所信表明に対し、質問をいたします。
 小泉新総理は、この度の首班指名においても堂々の支持を得られて、内閣総理大臣に就任されました。先ず、心からお祝いを申し上げます。
 保守党は、連立与党の一翼を担う立場から全力で小泉内閣を支え、政策合意の実現に取り組む決意であります。
 総理は、「構造改革なくして日本の再生と発展はない」との信念のもとに、「新世紀維新」を実現する決意を改めて表明されました。私たち保守党も日本再生のために、社会のあらゆる分野での構造改革を強く主張してきただけに、この度の総理の決断を誠に心強く思うものであります。
問題はその実行と実現性にあります。
改革を実現するには、その具体的な処方箋と政策の優先順位を明確にすることが重要であります。総理が提案された数々の改革案の中で、改革断行への優先順位について先ずお伺いを致します。

(経済構造改革)

 次に、当面の最重要課題であります経済問題についてお伺いします。
 我々はこれまで「経済再建なくして財政再建なし」の方針の下に、減税や公共投資などの積極的な財政運営を行うと共に、「金融機関の早期健全化法の成立」や倒産から多くの中小企業を守るための「特別信用保証制度の創設」等、金融サイド、財政サイドの両面から景気のテコ入れを図ってまいりました。
 その結果、九十八年の秋、金融・証券会社が相次いで倒産し、まさに金融恐慌に突入の寸前にあったわが国経済を救うと同時に、マイナス成長からプラス成長に転換させるなど、連立政権は、わが国経済を懸命に支えてきたのであります。
 一方、残念ながら金融機関の不良債権問題のために、未だにわが国経済はこの泥沼から脱出することが出来ないのであります。
まさに「不良債権の処理なくして、経済再建なし」であります。わが国経済の再生のためには、一日も早い「不良債権問題」の解決が不可欠であります。その意味で、総理が「緊急経済対策」の速やかな実行を約束されましたことを力強く思うものであります。
 この際特に留意すべきことは、不良債権の処理を具体的に実施に移した場合、「企業の倒産」、「失業」等のデフレ効果を伴うことであります。日本経済は、今でもデフレ状態にありますが、不良債権の処理は一層これを加速させることになりかねないのであります。
 総理は自民党総裁就任の際の会見において、「構造改革で経済成長がマイナスになるかも知れないがやむを得ない」と発言されております。総理の意気込みを多とするものであります。しかし小泉総理!デフレ経済の下で不良債権を無くすことはほとんど不可能に近いことであります。円滑に不良債権を処理するためには、法制上、制度上の環境を整えるとともに、処理に伴うデフレ効果を軽減するため、必要な公共投資を行うとともに、失業中の生活保障と新たな職業訓練の機会の確保など、特に雇用対策等に万全を期して、一方において、積極的な経済政策を講ずべきであります。総理の見解をお伺い致します。
 またこれに関連し、三党の連立政権合意にあります、いわゆる祝日三連休倍増法案について、伺います。これは祝日であります「海の日」と「敬老の日」を月曜日指定することにより、三連休を実現し、ゆとりのある一層質の高い国民生活の確保を目指すものであります。またこれらの三連休により、経済に与える効果も大きく、国の予算を一円も使うことなく、これだけで一年間に七千億円から一兆円の経済波及効果があると試算されております。
 私たち保守党は、今国会に公明党、二十一世紀クラブと共にすでに関係法案を提出しており、その後、民主党からも同じような趣旨の法案が提出されております。
「祝日三連休倍増法案」の成立のためには、今日まで伝統と歴史のある祝日については、例えば敬老の日を九月十五日の一日だけではなく、敬老週間、敬老旬間あるいは敬老月間として、長寿を祝うと共に今後はさらに「敬老の精神」を涵養する等について、すでに我が党では検討を開始しております。
 法律の施行の時期等についても各党間で十分話し合うことも大切であります。
 何れにしても法案の成否は自由民主党の決断にかかっております。小泉総理のリーダーシップに期待しております。総理の見解を伺います。

(財政構造改革)

 次に、財政構造改革についてお尋ねします。総理は「国債の新規発行額を三十兆円以下に抑えることを目標に、中期的にはプライマリーバランスを実現する」との二段階論を述べておられます。総理の主張は財政支出の抑制論であります。
 財政構造改革と財政支出の抑制とは根本的に異なるものであります。財政構造改革はまさに歳出・歳入の構造を抜本的に改革することによって、財政赤字の拡大を防ぐ仕組みをビルトインすることであります。即ち、国の歳出の約半分を占める社会保障、公共事業、地方交付税の三分野について根本的に再構築することであります。
 今日の経済状況から見て、単なる財政支出の抑制は、日本経済に深刻な影響を与えかねません。不良債権の処理や企業のリストラというデフレ要因が加速する中で、必要な財政支出を抑制すれば、わが国経済はデフレスパイラルに陥る可能性さえ懸念されるのであります。財政支出の抑制は、デフレに伴う税収減と生活保護や失業対策などで、当初の目的とは逆に、猛烈な赤字を生じる恐れさえあります。  
 総理の言われる財政構造改革の真意と、我々の見解についての所見を伺います。

(教育)

 次は、教育についてであります。
総理は、所信において、教育基本法の見直しについては、幅広く国民的な議論を呼びかけておられますが、全く私どもも同感であります。
言うまでもなく、「国づくりの基本は人づくりにあり、人づくりの基本は教育にあります」。「米百俵」の教えもその通りであります。
総理の言われる新たな国づくりを担う人材を育てるためには、この際、教育基本法の積極的な見直しが必要であると考えますが、総理の見解を伺います。
なお、歴史教科書の問題についてであります。
我が国の見解はすでに明らかであります。中国、韓国からもこれに対し、再三意見が述べられております。教科書問題の以前は、中国とも韓国とも円満な波静かな外交関係にありました。そこで、このところ、海を挟んでそれぞれの国の考えを述べ合うだけでなく、折角総理も「誠実に受け止めて、どういう対応が出来るか前向きに考えたい」と述べておられるわけですから、この際、中国及び韓国に対し、環境が整えば、総理の特使を派遣する等、相手の政府や国民にも誠実に説明する必要があるのではないでしょうか。総理には当然、総理のお考えがあるのでしょうが、折角今日まで築き挙げてきた近隣諸国との信頼関係を損なうことのないよう特に誠実で丁寧な対応を求めるものであります。

(国の安全と危機管理)

 次に、国家の安全と危機管理についてお伺いいたします。
 一つは、防衛庁の「省」への昇格の問題であります。
国の平和と独立を確保し、国民の生命と財産を守ることは、国家の最も重要な責務であります。このため諸外国ではこれを担う組織を、何れの国も「省」として位置付けております。しかしわが国においては、中央省庁の再編がスタートし、環境庁が省に昇格したにもかかわらず、未だに防衛庁は「庁」のままであります。
 我々は、形式的なことで、防衛庁の「省」昇格を求めているのではありません。「庁」のままでは、何をやるにしても内閣府を通じた手続きが必要であります。不審船の進入、阪神淡路大震災などの国家の重大な危機に際しての自衛隊の活動の必要性が増大し、国民の期待が高まっているにもかかわらず、「庁」であるがゆえ、内閣総理大臣が主任の大臣として、内閣府が所管するその他の事務と同様に処理されてしまい、迅速な対応ができません。防衛庁の「省」昇格を実現し、大臣として自ら閣議を求め、予算を要求し、省令の制定を可能にするなど、この際、国民生活のあらゆる危機から、国民を守るため万全を期すべきことは当然のことであります。総理の見解を伺います。
 次に、危機管理について申し上げます。
 阪神淡路大震災以来、官邸を含めて、危機管理のあり方について再三議論されて参りました。危機管理の最高責任者は総理であります。有事に備えて、危機管理のあり方について、総点検が必要であります。総理の方針と決意を伺います。
 さらに、平成十一年の北朝鮮の不審船とも思われる船が白昼堂々とわが国の領海を侵犯した事実を国民は今も忘れてはいません。
 先般はこれまた北の重要人物とも思われる男性が、偽造パスポートを持って入国をしようとしたことがありました。しかも、三度も入国の事実があると言われています。国外退去をもって一応、事無きを得たような格好でありますが、これまた、国の危機管理の脆弱なところに不意打ちを受けたようなものであります。何等かの政治的配慮があるにしても、入国管理のあり方及び国家の危機管理の観点から、総理に対し、あらためて今回の事件に対する明確なご説明を求めるものであります。

(憲法)

 次は憲法の問題であります。
 我々保守党は、総理の言われる首相公選制の是非を含め、現行憲法を全面的に見直し、戦後、今日までの日本の歩みを振り返りつつ、二十一世紀日本の国づくりの根幹をなす、全ての国民が誇りを持つことの出来る「新たな自主憲法」の制定を目指すべきであると考えます。総理のご決意を伺います。

(守るべきもの)

 最後に、私は「都市と地方」、「過密と過疎」の問題についてお尋ねします。
 総理は自らを本部長とする都市再生本部を早くも立ち上げ、公約の実行に踏み出されました。しかし、日本の国土の四十八・五%を占め、全国三千二百余の市町村の約三分の一を占める千百七十一の市町村が過疎地域となっている事実を忘れてはなりません。
 総理、国土の均衡ある発展は国政の基本であるはずであります。残念ながら総理の所信を伺う限りにおいては、この「もう一つの日本の存在」については、政策的に空白となっております。総理の言われる「おいしい水」、「きれいな空気」、「美しい自然の姿」を持つこれらの地方のためにも、「農林水産業や過疎地域等の再生本部」がもう一つ必要なのではないかと考えます。
 農林水産業にいそしむ地域の人々は、「後継者不足」、「人口の老齢化」、「深刻な少子高齢化」の中で、明日への希望を如何にしてつないでいくかを憂慮されている毎日であります。古くからの日本人の心を育んできた農山漁村は何れも過疎地域となりつつあり、荒廃の一途を辿ろうとしております。しかも、伝統や人間味あふれる地方の町並みや古くからの商店街も、櫛の歯の欠けるように廃れるにまかせているような姿も珍しいことではありません。
 われわれ保守党は「変えるべきは敢然として変え、守るべきは断固として守り抜くこと」を党の政策の基本としております。都市政策の積極的な推進と併せて、この際重要な我が国の「過疎対策について」、同時に「農林水産業の振興策について」総理の基本的なお考えを伺いたいのであります。
総理の素晴らしいリーダーシップは国会審議も様変わりの様相を呈しています。
 いよいよ「小泉改革」を本当に実りあるものに仕上げていくためには、かつて協同組合の元祖とも言われたロバート・オーエンが「一人の百歩より、一万人の一歩」を標榜されましたように、「国民の改革への一歩」を求めて、総理が奮闘されることを祈って私の質問を終わります。

 

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