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 衆議院議員 二階 俊博

 作家の神坂次郎氏(日本ペンクラブ理事)は私たちの郷土、和歌山県が誇る日本の代表的な歴史小説家として有名であります。神坂氏がある時、「私が書いた『海の伽倻琴』(講談社文庫・上下巻)という小説の中に登場する"沙也可将軍"は確かに『雑賀孫市郎』であると確信している」「自分は取材のため、二度、大邱郊外の友鹿洞を訪ね、沙也可将軍のお墓参りしたことがある」「あなたもご一緒に一度、友鹿洞を訪ねて頂きたい」と言われました。
 一九九九年の秋、済州島で開催された第二回日韓定期閣僚会議に小渕総理(当時)と共に私も運輸大臣として出席し、両国の文化、観光振興に力を注ぐことを約束しておりました。そのような折に神坂氏から訪韓の熱心なお誘いがあり、早速「沙也可将軍を尋ねる旅」を計画、神坂氏を団長に、五十四名のメンバ―の皆さんと共に、二十世紀最後の深みゆく秋の友鹿洞を訪ねました。今から四百年前、朝鮮義勇軍に投じた降将である沙也可将軍の一族が、鉄砲隊として日本軍と戦ったその武勲により貴族に列し、今、韓国全土に約七千名に及ぶ一族がいると言われます。
 村を挙げて、私たち一行の歓迎会が催され、沙也可将軍の十四代の直系、金在賜氏から儒教の正装姿での丁寧な歓迎の挨拶があり、山の上に静かに眠れる沙也可将軍のお墓に墓参の後、私たちは、まるで親戚の法事のため帰郷したときのような心のこもった歓待に接しました。
 真赤に熟れた柿や手作りのマッコリを頂きながら、四百年の歴史ロマンに一同は興奮気味でした。私はこの感動的な友鹿洞への訪問以来、神坂氏の描く「海の伽倻琴」こそ、これからの日韓両国の友好親善のため、大きな架け橋の役割を果たしてくれるのではないかと考えました。機会がある毎に韓国の私の友人の皆さんに意見を求めたところ、沙也可将軍の伝えは聞いているーーー。新たな日韓関係の友好の絆となるロマンが秘められている素晴らしい物語であるとの、異口同音のご意見でした。
 そこで 「海の伽倻琴」を韓国語に翻訳して韓国で出版し、広く多くの韓国の皆さんに読んで頂いて、やがて両国の協力によってテレビや映画となり、さらに子々孫々にまで語り継がれるようになることを、私は今、心に措いております.
 この度、関係の皆さまの日韓親善にかける熱い想いが結実してハングル文字に翻訳されることになり、誠に嬉しく思っております。昨年末、日本と韓国との航空協定が画期的に前進したことにより、日韓の往来が更に発展することになったことは素晴らしいことであります。加盟百三十八カ国のWTO(世界観光機関)総会も、今年はソウルと大阪の共同開催で、世界の観光の専門家二千名を集めて開かれます。
 二〇〇二年、サッカーワールドカップの共同開催も、日韓両国の協力の成果を世界の舞台に披露する大きなチャンスであります。今年の八月から韓国で開かれる陶磁器博覧会にも大きな注目と期待が寄せられております。
 今から三年前、金大中大統領が来日された際、大統領は国会において私たちに感銘深い演説をされました。「過去は問わない。未釆志向で!」 示唆に富んだ大統領の一言は、かつては近くて遠い国だったかもしれない両国の間の距離を急速に縮め、熱い友情を持って両国の経済、文化の発展に協力しあえる環境が、新しい波となって整って参りました。
 今回の神坂文学の翻訳出版が、海を越え、歴史を超えて両国の深い友好の絆となり、更に両国の未来に夢と希望をもたらすことが出来れば、関係者の一人としてこれに過ぎる喜びはありません。
 ご協力いただいた韓国側の友人の皆さまに心深く感謝の意を表し、喜びの言葉と致します。

 

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